梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

安倍首相 退陣

 安倍首相が辞意を表明した。まさに「遅きに失した」とはこのことである。彼は3年前(2017年)、「森友学園」への国有地売却に関して「私や妻、事務所を含めて一切関わっていない。関係していたなら、首相も国会議員も辞める」と明言、その後「(森友学園に関しては)全く無関係ではなかった」(つまり関係していた)という事実が明らかになったのに、「首相も国会議員も辞める」ことはなかった。未だにその関係を否定しているようだが、この件に関して「文書を改竄した」官僚が自殺している。その事実一つを見るだけでも、安倍首相の責任は重いのである。
 コロナ禍の中、自らを振り返り「本当はあのとき(3年前)に辞めるべきだった」と反省した結果、その責任を取って辞めるというのならともかく、自分の病気が再発したから辞める?、いったいこの御仁はどこまで「自己都合」論を振りかざすおつもりか。またまた公私混同、辞める理由は「持病の悪化」という私事に他ならないのだからあきれる。
 安倍首相の在任期間は「最長」だそうだが、その間に撒き散らした悪習は数知れない。その第一が「公私混同」(裏取引)、その二が「詭弁」(はぐらかし)、その三が「無責任」、とりわけ、一国のリーダーとして「痛恨の極み」「責任を痛感」などと言うことだけで「責任を取ったことになる」という錯覚を多くの国民に植えつけてしまった罪は大きい。
 政局は一気に次期総裁選びへと進んでいるが、注目すべきは麻生《副》総理の動向だ。《副》とは「補佐」すること、首相に事故がある時、また欠けた時には《代理》も務めなければならない。安倍氏は潰瘍性大腸炎のため《すでに》「国民の負託に応えられない」というのだから、次の首相が決まるまで、麻生副総理の「出番」が来たのである。
 「えつ?、そこまでオレがやるの?」などとは言わせない。責任を果たしてもらわなければならない。さて、どうする?