梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「急性心筋梗塞」病状記・8・《結び》

 昨日、今後の課題について主治医の診断を仰ぐために通院・受診した。その結果は、①服用薬のうち一種(フロセミド錠20mg・1日分0.5錠)を中止すること、②胃カメラ検査をして「吐き気」の原因を探ること、ということになった。フロセミド錠は、血圧を下げ浮腫をなくす薬である。利尿効果が急激にあらわれることがあり、脱水に注意せよという事項がある。主な副作用は、口渇、頭痛、倦怠感等である。私は「吐き気」のために食べられないことを訴えたのだが、吐き気、嘔吐を副作用とする薬を中止する処置ではなかった。しかし、主治医を信頼して従うほかはない。胃カメラ検査も同意して、看護師の注意事項を聞く。前日21時以降は絶食、当日朝は「薬を早めに全部飲んで来院してください」ということであった。
 猛暑の中を帰宅、昼食を摂るが市販のサンドイッチ1枚以上は食べられなかった。熱中症予防のため、経口補水液を飲用、冷却シートを添付して横になる。15時頃、少し楽になったので、牛乳紙パック(小)1本、食べ残しのサンドイッチを流し込んだ。再び横になり、友人から貰ったペギー葉山のCDを聴く。彼女の伸びのある歌声も、弱った身体をやさしく癒やしてくれるが、ちあきなおみに比べると「私には距離感がある・・・」などと考えているうちに、夕食の時間になった。もう減塩にはこだわらず、少しでも量を増やすことに専念する。焼き鮭の切り身半分、味噌汁1杯、卵焼き2枚、冷や奴4片、御飯半杯をやっと食べ、今日は特別に「ニンニク」1片を焼き焦がし醤油につけて食べてみた。しばらくすると、身体全体に「ガクン」とアクセルのギア―が入ったように、力が湧いてくる感じがした。ニンニクの効能はあちこちで宣伝されているが、副作用もあり、特にアスピリンとの併用は避けなければならないといわれている。私は朝食後、バイアスピリン錠100mg(1日分1錠)を服用しているので、「やっぱりダメか」と思ったが、ともかくも昨晩は22時までテレビ視聴を楽しむことができたのであった。
 そして今日の未明、1時30分に目が覚めると、不思議や不思議、「吐き気」が全く感じられない。身体全体の「安定感」が増してきた。少しぐらいの「不快感」には動ぜず対応できるという「自信」である。「嚥下時の違和感」「息苦しさ」もほとんどない。ということは、「もう治った」ということか。などと考えているうちに、朝が来た。
 まだ「吐き気」が払拭されたとはいえないが、朝食はトースト1枚、コーヒー1杯にアボガド4片をわさび醤油につけて食べることができた。
 この分だと、「胃カメラ検査」はキャンセルできるかもしれない、とかすかな希望もでてきた。というところで、この「病状記」は《結び》とする。 
(2018.8.15)