梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

東京都知事選の《結果》

 今から7年前、私は以下のような駄文を綴った。


 【「開運!なんでも鑑定団」に出演した衆議院議員・小池百合子氏の《品格》】


 テレビ東京「開運!なんでも鑑定団」に衆議院議員・小池百合子氏がゲスト出演、御本人も以下のようにツイートしている。〈『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京)に出演します。6月18日(火)午後8時54分から。私のお宝は、イラク・バグダッドで購入した絨毯。お楽しみに!〉ところで、この代物(ペルシャ絨毯)の鑑定をめぐって、見解が対立している。鑑定士・大熊克巳氏の総評は〈染料と素材が融合して爛熟期に入った素晴らしい絨毯。イラク王国がイランに発注して織らせたものではないか。イランの町ごとに様々な絨毯が作られていたが、依頼品はおそらくケルマンという町で織られたものだろう。上部に「バスラ刑務所で織られた」というアラビア文字があるが、これは後から入れられたものではないか。この字で紋様の上半分が欠けてしまっている。こういうことはまずあり得ない。小池先生はイラクで織られた物と仰るが、代表的なペルシャ羊の毛で、織り方もペルシャの物であり、イラン以外は考えられない。〉ということであったが、ブログ「今そこにある日々」の記事には〈「開運なんでも鑑定団」テレビ東京 今日のゲストは政治家の小池百合子さんです。1990年に人質解放を求めにイラクのバグダッドを訪れた際に見つけた絨毯の鑑定は本人評価額10万円に対し80万円の鑑定結果でした。生産地はイランとの判定でしたが小池さんはイラクに間違いないと反論!果たしてどちらが正しいのか??〉と述べられている。門外漢の私にとっては、「どうでもいい話」だが、小池議員のツイート、「どうぞお楽しみに」という件が、見逃せなかった(楽しむどころではなかった)。その理由①、小池議員は1990年に人質解放を求めてイラクのバクダッドを訪れ、無事解放に成功、その帰途、骨董店で当該絨毯を購入したそうだが、「人質解放」という公的行為と、「絨毯購入」という私的行為が、なんとも調和を欠いている。さらにいえば、当時、人質解放を求めてバクダッドを訪れたのはプロレスラー・アントニオ猪木氏という記録はあるが、小池百合子氏という名前は出てこない。彼女自身の「経歴」「年譜」などにも、そのような記載は見当たらない。だとすれば、「絨毯購入」という事実があるだけで、「人質解放」という公的行為があったかどうか疑わしい。その理由②、件の絨毯を専門家の大熊氏が「イラン製」と鑑定したのに、あえて「イラク製」と反論したのはなぜか。自分の「見識」が浅かったことを認めたくなかった。イラクについては自分の方が専門家であることを主張したかった。しかし、(それがたとえ「イラク製」であったとしても)あの場面では、鑑定士の「顔を立てて」引き下がるのが、政治家(元閣僚・現党広報本部長)、もしくは有名人、延いては人間としての「品格」というものであろう。視聴者(私)にとっては、ムキになって「水掛け論」を主張する小池議員の「頑なな」表情ばかりが目について、「楽しむどころではなかった」のだから・・・。
 かくて、また有力な政治家が一人、「我執」という馬脚をあらわしてしまった、という御粗末譚、テレビを甘く見ない方がよろしいですぞ!自民党広報本部長・小池さん!(2013.6.18)


 そして今、小池氏は先日の都知事選に圧勝し、2期目を務めることになった。まことに御同慶の至りだが、都民は「どんな気持ち」で彼女に投票したのだろうか。絶対的な信頼、支持があったとは、とうてい思えない。コロナ対策はお見事!とはお世辞にもいえないのだから・・・。「東京アラート」とはいったい何だったのか。感染者が減っている時に発令し、増えているのに解除とは何事か。にもかかわらず、圧倒的な都民が彼女に投票したのは、「このままでは辞めさせない」「きちんと責任を果たしてもらう」という気持ちがあったからだと、私は思う。
 かくて、小池氏の責任は倍加し、命を削る日々が待っているのだ。7年前の《品格》のまま・・・。とはいえ、私は東京都民ではない。まさに「大きなお世話」である。
(2020.7.7)