梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

為政者の《魂胆》

 今日もメディアは、国内感染者が新たに212人増え、累計で2万人を超えたことを報道している。感染の拡大は一度終息かに見えたが、7月以降再び「再燃」し始めた感がある。だがしかし、政府も地方自治体の首長も、緊急事態宣言を出したり、外出自粛、営業自粛を要請したりする動きは見せていない。なぜか。彼ら(為政者)は、とうの昔から「感染者数」など問題にしていないからである。「感染者数」の増減に一喜一憂しているのは《無辜の民》(大多数の国民)だけであり、それ(世論)を操作して(不安を煽り立てようとして)いるのがメディアだという構図が浮かび上がってくる。それに便乗して、稼ぎまくっている業者も少なくないだろう。《だから》騙されてはいけない。
 PCR検査で「感染症」だと診断できる確率は50~70%に過ぎない。つまり、PCR検査では正確な「感染者数」を把握することはできないのである。だから注目すべきは現在「何人が入院しているか」という「患者数」(の現在数)と、そのうちの「重症者数」(の現在数)、そして(新規の)「死者数」の方なのだが、厚生労働省はなぜかその数値のすべてを明らかにしない。ホームページでは「重症者数」は示しているが、7月7日現在36人である。その数だけで、それが多いものやら少ないものやら「すぐには判断できない」が、4月下旬から5月上旬までは300人を超えていたから「少なくなった」と考えるべきだろう。同様に「新規死者数」も一時(4月下旬から5月中旬まで)は10~90人で推移していたが、5月下旬からは10人未満(時にはゼロの日も混じり始めた)に収まっている。だから、為政者や専門家は「感染者の拡大」を、さほど重要視していないのであろう。もし、そうであるなら、そうした見解を国民に示すべきだが、彼らは国民を根っから信頼していない。選挙の時だけは「頭を下げる」が、ひとたび当選しようものなら、どうすれば《国民を騙して》甘い汁が吸えるか、だけを追求する。昔から「由らしむべし知らしむべからず」が支配・統制の鉄則であることを、彼らは学んでいる。だから、決して本当のことを言わない。「状況判断」「総合的」などという言辞を弄して、「日和見する」ことを常としているのだ。
 その結果、いつもひどい目に遭うのは《無辜の民》である。今日もまた、外出時にはマスクを着け、「社会的距離」を保ち、「人を見たらコロナと思え」という生活を余儀なくされているのだから・・・。
 そして自分自身に言い聞かす。「自分の命は自分で守れ」。 
(2020.7.8)