「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・7
【要約】 予期吸啜反応はいっそう直接的な、一部の子音生産の下準備となりうる。予期的に吸啜反応をしているときに呼気が生じると、これが唇音[p][b]、鼻唇音[m]、鼻歯音[n]を作り出す。歯舌音[t]の生じる可能性もある。このように吸啜反応は、唇、歯、鼻腔、舌の関係する広範囲の調音活動の基礎となる... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・7
【要約】 予期吸啜反応はいっそう直接的な、一部の子音生産の下準備となりうる。予期的に吸啜反応をしているときに呼気が生じると、これが唇音[p][b]、鼻唇音[m]、鼻歯音[n]を作り出す。歯舌音[t]の生じる可能性もある。このように吸啜反応は、唇、歯、鼻腔、舌の関係する広範囲の調音活動の基礎となる... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・6
《摂食運動と調音活動》 言語音声(母音・子音)を出すためには、呼吸活動と声帯の開閉との間の協応だけでなく、口腔の姿勢や運動を伴うことが必要であり、特定の言語音声を発するための特定の姿勢や運動は、“調音”(articulation)とよばれる。調音をつかさどる器官は呼吸器官とも、摂食器官とも多分に... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・5
■その後の音声の変化 《叫喚音声の変化》 【要約】 単調だった初期叫喚は、まもなく変化を示しはじめる。それは発声の持続時間・リズム・強さ・高さ・音色などの上にあらわれる。ビューラー(Buher,C,1930)によると、少なくとも0歳3ヶ月にはこれがはっきりしてくる。おおまかにいえば、常習的叫喚と... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・4
《叫喚と非叫喚との識別》 【要約】 0歳1ヶ月ごろになると、叫喚よりおだやかで静かな音声がときおり生じはじめる。これは“cooing”とか“whining”とかいわれる非叫喚音である。それまでは声量の調節ということはできなかった子どもが、0歳1ヶ月以後調節することができはじめてくる(Osgood... 続きをみる
フランスの劇作家マルセル・パニョルは「笑いについて」(岩波新書)の中で、「笑い」には3種類ある、と述べている。その1は、強者が弱者を見下して蔑む笑い、その2は弱者が強者をからかって皮肉る笑い、その3は人間同士が楽しみや喜びを分かち合う連帯の笑い、である。日本でも「嘲笑」「哄笑」「嬌笑」「爆笑」「... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・3
《新生児の叫喚》 【要約】 新生児(生後1ヶ月間)が叫喚に費やす時間は全生活時間の5~6%といわれている。これは、睡眠時間の70%と摂食時間の15%を考えるとき、おきていて吸乳していないときには、叫喚していることが非常に多いことを物語っている。 叫喚がどんな原因で生じるかについてはよくわからな... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・2
1 乳児初期の発声 【要約】 ‘うぶ声’にはじまる人間の発声は日々急速に変容して、まもなく明白な技能的統制が生じてくる。これと平行して、音声に‘意味’も感じられるようになる。これらの変化は明らかに人間の高次神経機構の整備によるものである。しかし、このような初期の段階においてさえ、発声行動は周囲か... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・1
【序】 私は今、自閉症児の「言語発達」について考えている。「言語発達」の遅れは、自閉症児の行動特徴(症状)の一つに挙げられているが、助詞、助動詞、人称代名詞の誤用、紋切型で抑揚のない語調(口調)などが指摘されているだけで、その実相や原因はそれほど究明されていないように思われる。 自閉症児の「言... 続きをみる
吉本芸人Mの「性加害」という問題が取り沙汰されて2か月が経とうとしているが、その《本質》が忘れられたまま、不毛な対立・抗争が続けられている。「性加害」の《本質》とは何か。それを明らかにするためには、まず「性」とは何かについて考えることが必要だ。「性」とは「男と女」という区別であり、「性行為」とは... 続きをみる
「障害乳幼児の発達研究」(J.ヘルムート編・岩本憲監訳・黎明書房・昭和50年)抄読・7
Ⅶ 幼児ー母親の相互交渉の型と刺激の特性《映写観察を使用したセット場面での行動的相互交渉の評価》 A 背景 ・(幼児ー母親の相互交渉を「映写観察」〈その記録を分析〉することにより)、刺激パタン、刺激の数や多様性、回数・強さで示される刺激の量、刺激時間の評価が容易にできるようになった。映写観察は、評... 続きをみる
「障害乳幼児の発達研究」(J.ヘルムート編・岩本憲監訳・黎明書房・昭和50年)抄読・6
Ⅵ 母親の行動と幼児ー母親の相互交渉《録音面接の際の母親の叙述とそのときの幼児ー母親相互交渉についての観察者による逸話記録に基づいた研究》 A はじめに ・録音面接時の母親の叙述は、面接時の観察者による幼児ー母親相互交渉の描写と比較された。それによって、一致を示した相互交渉が、この研究の知見として... 続きをみる
「障害乳幼児の発達研究」(J.ヘルムート編・岩本憲監訳・黎明書房・昭和50年)抄読・5
Ⅳ 方法 A 被験者 1.選択 ・母親と幼児被験者は、Illnois大学病院の小児科部門から得られた。被験者は、次のような基準に基づいて対象にされた。 ⅰ. 年齢:30カ月未満 ⅱ. 異常行動:異常行動のリストにあげられた1つ以上の異常状態。 《幼児の異常行動》(リスト) Ⅰa 哺乳と胃腸系の異常... 続きをみる
「障害乳幼児の発達研究」(J.ヘルムート編・岩本憲監訳・黎明書房・昭和50年)抄読・4
Ⅲ 親子関係に関する批判と「障害乳幼児の発達研究」(J.ヘルムート編・岩本憲監訳・黎明書房・昭和50年)抄読・3幼児ー母親相互交渉の研究 A はじめに ・環境は、児童期の精神的、社会的、情緒的発達に影響するという概括的な仮定は、発達に及ぼす大切な環境要因は、親のパーソナリティと行動の間に見出される... 続きをみる
4歳の女児(次女)を殺害したという疑いで両親が逮捕された。資産家一家の事件で、女児には10歳の兄(長男)と8歳の姉(長女)がいる。私がまっさきに思ったことは、両親が逮捕されていなくなった家で、この10歳と8歳の兄妹は、今後どのように暮らしていくのだろうか、という一点である。新聞の報道を見る限りで... 続きをみる
昨年末「週刊文春」が吉本芸人Mの言動に言及してから2か月が経とうとしている。私はこれまで吉本芸人Mの「芸」など興味がないので見聞していないし、「週刊文春」の記事なども読んでいないので、どのようなことが取り沙汰されているか、詳細は知らないが、ネットを開くと、連日、吉本芸人Mの顔写真が出現してくるの... 続きをみる
「障害乳幼児の発達研究」(J.ヘルムート編・岩本憲監訳・黎明書房・昭和50年)抄読・3
「障害乳幼児の発達研究」(J.ヘルムート編・岩本憲監訳・黎明書房・昭和50年)に収録されている論文「正常幼児と異常行動をもつ幼児の母ー子相互関係行動の比較」(ナーマンH.グリーンベルグ)を精読する。 Ⅰ はじめに ・この報告は、異常行動をもたない幼児と母親(M-CI)および異常行動をもつ幼児と母親... 続きをみる
「障害乳幼児の発達研究」(J・ヘルムート編・岩本憲監訳・黎明書房・昭和50年)抄読・2
【Ⅱ 社会的ディプリペーション環境下の養育から生まれてくる異常行動】 ・赤毛ザルの社会的発達に影響するパラメーターを調査するために、Wisconsinの研究室の実験者は、母ザルと仲間ザルの中で養育される環境を、体系的な代償と、この環境における社会的要素をとりのけることによって変えてきた。これらの研... 続きをみる
「障害乳幼児の発達研究」(J・ヘルムート編・岩本憲監訳・黎明書房・昭和50年)抄読・1
「障害乳幼児の発達研究」(J・ヘルムート編・岩本憲監訳・黎明書房・昭和50年)を抄読する。今から39年前に発行された本だが、その内容は(私にとって)斬新である。と言うのも、それ以後、科学技術の進歩はめざましかったが、その方向は分子生物学の分野に偏りがちであり、人間のありかたを「総体」として捉えよう... 続きをみる
《おわりに 愛着を軽視してきた合理主義社会の破綻》 ・この数十年、社会環境が、愛着を守るよりも、それを軽視し、損なう方向に変化してきた。 ・効率的な社会において、人間の根幹である愛着というベースが切り崩されることによって、社会の絆が崩壊するだけでなく、個々の人間も生きていくのに困難を抱えやすくなっ... 続きをみる
2 いかに克服していくか ⑴安全基地となる存在 ・愛着の原点は、親との関係で育まれる。愛着障害は、そのプロセスで躓いている。それを修復するには、親との関係を改善していくことが、もっとも望ましい。 ・しかし、親の方も不安定な愛着の問題を抱えていることも多く、子どもに対する否定的な態度を改めようとしな... 続きをみる
《第6章 愛着障害の克服》 1 なぜ従来型の治療は効果がないのか 【難しいケースほど、心理療法や認知行動療法が効かない理由】 ・「心理療法」「認知行動療法」で効果が得られにくいのは、「愛着障害」という観点が 導入されていないからである。 ・愛着障害や不安定型愛着に対する治療は、未発達の分野である。... 続きをみる
《第5章 愛着スタイルと対人関係、仕事、愛情》 1 安定型愛着スタイル 【安定型の特徴】 ・安定型の第一の特徴は、対人関係における絆の安定性である。自分が愛着し信頼している人が、自分をいつまでも愛し続けてくれることを確信している。自分が困ったときや助けを求めているときには、それに必ず応えてくれると... 続きをみる
《第4章 愛着スタイルを見分ける》 【愛着スタイルが対人関係から健康まで左右する】 ・それぞれの愛着スタイルは、「作業モデル」と呼ばれる行動のプログラムをもっている。それは、幼いころからこれまでの人生のなかで作り上げられてきた、行動や反応の鋳型であり判断基準である。 ・このプログラムの特異な点は、... 続きをみる
【自分を活かすのが苦手】 ・不安定愛着型の子どもは、自分の可能性を試すことについて、過度の不安を感じたり、投げやりで無気力になったり、最初から諦めていたりしがちである。その結果、自分の可能性の芽を摘んでしまうことも多い。 ・愛着障害の人は、自分の潜在的な能力を活かせていないことが多い。 【キャリア... 続きをみる
【発達の問題を生じやすい】 ・子どもは愛着という安全基地があることで、安心して探索活動を行い、認知的、行動的、社会的発達を遂げていく。愛着は、あらゆる発達の土台でもあるのだ。愛着障害があると。発達の問題を生じやすい。 ・安定した愛着の子どもは、自分一人では手に負え合い問題に対して、助けを求めたり、... 続きをみる
《第3章 愛着障害の特性と病理》 【愛着障害に共通する傾向】 ・愛着障害には回避型と不安型のような正反対とも言える傾向をもったタイプが含まれるが、その根底には、大きな共通点がある。 ・愛着障害は、素晴らしい能力とパワーをもっている。 【親と確執を抱えるか、過度に従順になりやすい】 ・親との関係をみ... 続きをみる
【親の愛着スタイルが子どもに伝達される】 ・「親の不在」「養育者の交替」といった問題のないふつうの家庭に育った子どもでも、三分の一が不安定型の愛着パターンを示し、大人のおよそ三分の一にも、不安定型愛着スタイルが認められるのはなぜか。それは、親の愛着スタイルが子どもに伝達されやすいからである。 ・母... 続きをみる
《第2章 愛着障害が生まれる要因と背景》 【増加する愛着障害】 ・子どもの数が減り、一人ひとりの子供が、手厚く大切に育てられているはずの現代において、愛着の問題を抱えた子どもだけでなく、大人までも増えているという現実がある。 (虐待、育児放棄、境界性パーソナリティ障害、依存症、過食症、「草食系男子... 続きをみる
【良い子だったオバマ】 ・オバマ大統領は、「良い子」や「優等生」を演じきった。「従属的コントロール」を駆使した典型である。 ・クリントン大統領は、母親に対してはとても従順であったが、それ以外の女性に対しては支配的で、うまく利用したり搾取しようとした。「操作的コントロール」の典型である。【愛着パター... 続きをみる
【ストレスと愛着行動の活性化】 ・何か特別な事態が生じて、ストレスや不安が高まったときには、「愛着行動」が活発になる。それが健全な状態であり、自分を守るために重要なことである。 ・愛着行動には、さまざまなヴァリエーションがある。(幼い子ども→直接行動、フランクル→愛する人を回想する) ・愛着行動は... 続きをみる
【親を求めるがゆえに】 ・愛着を脅かす、もう一つの深刻な状況は、守ってくれるはずの親から虐待を受け、安全が脅かされるという場合である。この場合、子どもは親を求めつつ、同時に恐れるというアンビバレントな状況におかれる。しかも、親がいつ暴力や言葉による虐待を加えてくるかわからないといった状況は、子ども... 続きをみる