「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・32
■表情 【要約】 表情は本来、内的・情動的状態の自然的な表出であり徴候であるが、音声言語行動の未発達な時期には、外的事象の表示手段としてもある程度利用される。聾幼児では、音声的手段をほとんどもつことができないために、表情を表示の手段として用いる傾向が強く、急速に発達する。一般に、聴児が音調によっ... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・32
■表情 【要約】 表情は本来、内的・情動的状態の自然的な表出であり徴候であるが、音声言語行動の未発達な時期には、外的事象の表示手段としてもある程度利用される。聾幼児では、音声的手段をほとんどもつことができないために、表情を表示の手段として用いる傾向が強く、急速に発達する。一般に、聴児が音調によっ... 続きをみる
吉本芸人Mが「週刊文春」を名誉毀損罪で訴えた裁判が始まった。この裁判で明らかになることは何か。もちろん、「Mが性的加害を加えたか否か」という事実ではない。「週刊文春」が「Mの名誉を毀損したか否か」という一点である。もし「週刊文春」が裁判で負ければ、Mの性的加害は「なかったかもしれない」。真実は一... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・31
■提示 【要約】 身振りは、その表示方法の上で2種類に分けることができる。一つは、現前場面に依存せずに、対象ないし事象そのものを模写的にあるいは象徴的に絵画化する仕方であり、もう一つは、現前場面に依存する対象ないし事象を指摘する仕方である。後者の典型的な場合として指示行為があるが、これと同種の行... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・30
■指示 【要約】 対象そのものの絵画化を伴わない象徴的身振りの典型的なものとして、指示行為をあげることができる。単に対象に手を伸ばす動作、あるいは注視と到達行為との協応が開始されるのは0:3~0:5であり、比較的個人差はない。はっきり指示の徴候が認められるの行為は0:10~0:11にはじまり、そ... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・29
5 身振り 【要約】 身振りの発生はおそらく自然的であって、身振りとして学習されたものではないが、のちに慣用される身振りの観察と模倣行動とを通じて学習され、伝達の手段として意図的に用いられる。この発達的変化のなかで最もいちじるしい面は、その象徴化に認められるべきであろう。 以下、身振りをさまざ... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・28
《遊び》 【要約】 遊びは新しい外的環境に対して、すでに獲得している活動を適用することであり、積極的で自主的な活動である。さらに遊びは、発達の過程のなかで漸次その象徴的特性を現し、それを最も高度に示す行為でもある。人間の精神発達を適応の過程としてみるならば、適応は模倣の調節機能と遊びの同化機能と... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・27
《延滞模倣・観察学習》 【要約】 人間行動における模倣の実用的価値は、延滞模倣に最もいちじるしくみとめられるが、それはどのような性質のものであろうか。 近年、“代理経験”あるいは“観察学習”として研究されている問題がこれに密接に関連している。これらの用語は、他者の行動を観察するだけで、自分に顕... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・26
【要約】(ピアジェ・模倣の発達段階論) 《第1段階》(0歳0ヶ月~0歳1ヶ月) “反射を通じての模倣準備期”として特徴づけられる。他児の叫喚によって叫喚が生じるという一見模倣的な傾向は、①他児叫喚によって生じた不快が原因であると解釈するか、②他児叫喚から直接生じた反射反応と解釈するか、のいずれか... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・25
■模倣 《ピアジェの模倣の発達段階論》 【要約】 一口に“模倣”というが、そこには種々の次元、あるいは型の模倣が考えられる。そのおもなものはつぎの五つであろう。 ⑴ 即時模倣(直接模倣)と延滞模倣。前者は与えられた手本を即時模倣する場合であり、後者はその間に時間が経過している場合である。 ⑵ 手... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・24
4 模倣と遊び 【要約】 ここでは、初期表象機能の最も活発で顕著な現れとしての、模倣と遊びについて考察し、それらが言語発達の過程とどのように関連するかを示唆したいと思う。 模倣と遊びとは同じ時期に発生し、平行して発達変化するものでありながら、ある面で対照的な性格をもっている。ピアジェ(piag... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・23
■初期の象徴活動 【要約】 象徴機能の特性として、つぎの諸点が注目される。 ⑴ 必ずしも音声的に発現されず、しばしば非音声的行動に現れる。 ⑵ 欲求の充足に動機づけられていない。 ⑶ 対人的・社会的な性質がない。 ⑷ 代表機能の原初形態として発現する。 このような特徴はピアジェ(Piaget,... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・22
■代表機能と象徴機能 《“代表機能”と“象徴機能”の定義》 【要約】 バーラインは、“象徴反応”についてつぎのように述べている。“行動主義的観点からすれば、記号と象徴とは二重の側面をもつ。それらは生活体によって作られた反応の産物であるとともに、行動に深刻な影響を与える刺激または刺激源である。・・... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・21
2 象徴機能の発生 【要約】 言語行動を最も外見的にとらえるならば、それは一種の筋の運動である。きわめて複雑にはちがいないが、結局はそうである。しかし言語行動が高次の精神過程にその基礎をもち、それに規定された行動であるという面に注目しないかぎり、言語行動の形骸を追うという結果になろう。しかし、精... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・20
■喃語と談話 【要約】 音声言語の種類を異にする社会に生まれた子どもの間で、最初のうちは、発する音声に差がない。この差が生じてくるのはいつごろからであろうか。また、このような発達的変化は連続的に移行するのか、それとも非連続であろうか。 《喃語音声の生得性》 中島・岡本・村井(1960)は、アメ... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・19
《外的強化と自閉的強化の共存》 【要約】 ごく大まかにいえば、外的強化は対人場面で、内的強化はひとり場面で、主として作用すると考えられる。チャーチは、“幼児は他者に対すると同じ程度に自分に向かって話す。反応する聞き手が存在することを知って驚き、ものをいわなくなることがある”(Church,196... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・18
《自閉的強化説》 【要約】 喃語活動は、子どもがひとりでいるときにも生じる。喃語活動が維持され、活発化する原因を、人から与えられる即応的強化にだけ求めるわけにはいかない。他の原因の一つとして、マウラー(Mowrer,1952,1954,1960)は、“自閉的強化理論”(autisticreinf... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・17
■喃語活動の活発化 【要約】 喃語活動は、談話活動の一般的な特性の発達的基礎と考えられるので、つぎの二つの問題を検討しておく必要があると思う。 ⑴ 喃語活動の活発化、あるいは生起頻度の増大 ⑵ 喃語にふくまれる音声の明瞭化、あるいは母国語音韻化 《達成動機説》 ルイス(Lewis,1951)に... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・16
■喃語の反復性 【要約】 喃語の反復性は、心理学的にはどのように説明されてきただろうか。 《循環反応仮説》 ・ハートレー(Hartley,1810)、オールポート(Allp0rt,1924)、ホルト(Holt,1931)。 “いま発声のための筋が活動していたとする。言語音またはそれに近い音声は、... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・15
■喃語の形式 【要約】 《喃語の音声面》 初期にはbaba....のような1音節単位の反復が多く、その後にbaba,baba,....のような反復性の多音節単位の反復が生じ、さらに、その後bama,bama,....のような非反復性の多音節を単位とする反復が生じ、さらに変化に富む結合がそれに続く... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・14
《非叫喚音の発生時期》 【要約】 非叫喚発声ははじめから言語的特性を十分にそなえているわけではない。最も初期の非叫喚発声は呼吸運動によって大きな拘束を受けており、その音声の調音化は漸次的である。呼吸活動のもとで音声が多様化してくるということは、発声が呼吸活動ならびに情動から独立して安定化してくる... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・13
■非叫喚発声 《非叫喚発声の発達的意義》 【要約】 非叫喚発声は叫喚よりもよく統制された呼吸活動と調音活動のもとで生じる。叫喚よりも変化に富んだ発声である。叫喚が強力な発声であるため母親の注意をひきつけ、その結果として自己の欲求をみたすのに役立つのに対して、非叫喚は弱い発声であり、母親の注意をそ... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・12
2 喃語 【要約】 喃語(babbling)は非叫喚音から成る一連の音声パターンをいう。それが談話と区別される点は、調音化がきわめて不十分であり、かつ意味が不明であり、伝達的意図に動機づけられていないということである。それは“意味のわからない話”である。(喃話という方が適切だが、私語や独語と同じ... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・11
《育児者の役割・意味形成》 【要約】 現実に対する子どもの認知は、成人(多くは母親)との接触を通じて形成されていく。それは成人の側からの積極的な働きを契機としている。成人が子どもの行為を子どもにとって興味のあるものにするための手段として、成人はいろいろな働きかけを子どもに対して行う。その結果、子... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・10
《発声行動の手段化とその要因》 【要約】 子どもはいつごろから外界刺激の特性に対応するような行為をするようになるのか。また、このことはどのように確証されるのか。 “(新生児は)手足をランダムに屈伸し、特殊な、つまり特性記述可能な行為をしない。「有意味だ」といえる運動が発生するにつれて、その運動... 続きをみる
国会中継や記者会見などで、議員がやたらと「○○させていただく」という文言を使うことが鼻につく。議員は選挙民に選ばれて「議員にさせていただいて」いるのだから当然かも知れないが、「説明させていただく」だとか「使わせていただく」だとか、「調べさせていただく」だとか、自分の行為まで「させていただく」のは... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・9
■初期音声における意味 《叫喚の発達》 【要約】 言語学者サーピアは、初期叫喚の“意味”に関連して「・・本能的な叫喚はどんな厳密な意味でも伝達(communicationn)とはならない。」(Sapia,1921)と述べている。初期の本能的叫喚はたしかにサーピアのいうような機能の範囲を出ないが、... 続きをみる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・8
《音素型の測定と記述》 【要約】 初期音声発達の解明に大きな貢献をしてきたのがアーウィンである。アーウィンを中心とする研究者の業績をアーウィン自身(Irwin,1952)がまとめたところによると、0歳2ヶ月~2歳6ヶ月の間では次のような発達傾向が認められる。 ⑴音素の種類数は増加していくが、その... 続きをみる