梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・24

4 模倣と遊び
【要約】
 ここでは、初期表象機能の最も活発で顕著な現れとしての、模倣と遊びについて考察し、それらが言語発達の過程とどのように関連するかを示唆したいと思う。
 模倣と遊びとは同じ時期に発生し、平行して発達変化するものでありながら、ある面で対照的な性格をもっている。ピアジェ(piaget,1945)によると、遊びは模倣が必要としている外的調節(新しい外的環境に順応するため、すでに獲得している活動の型を変更すること)は必要とせず、むしろ同化(新しい外的環境に対して、すでに獲得している活動の型をそのまま用いること)にその行動的特徴がある。
 模倣は反射的なものから象徴的なものへ、あるいは即時的なものから延滞的なものへと発達変化する。
 模倣と遊びとはそれが等しく初期の象徴機能の現われであり、相携えて発達をとげることによってはじめて、均衡のとれた精神発達・言語発達が約束される。
《図》遊びと模倣の発達過程(piaget,1945)
1 感覚運動的活動
 調節作用に対する同化作用の優越(遊び)→象徴遊び
→創造的想像
→再生的想像
 平衡:感覚運動的知能 →前概念
 同化作用に対する調節作用の優越(模倣)→創造的創造
→再生的創造
→代表性模倣
2 自己中心的代表性活動           3 操作的活動
象徴遊び→ 構造的ゲーム            構造的ゲーム
↑ ↓                         ↓ ↑
創造的想像→構造的ゲーム              ↓ ↑
↑ ↓     →操作                 操作
前概念            →直観→      操作 ↑ ↓
↑ ↓                          ↑ ↓
再生的想像→操作                   ↑ ↓
↑ ↓ →反省的模倣                  反省的模倣
 代表性模倣→反省的模倣
【感想】
 ここで著者は「模倣と遊びとはそれが等しく初期の象徴機能の現われであり、相携えて発達をとげることによってはじめて、均衡のとれた精神発達・言語発達が約束される」と述べているが、自閉症児の場合、模倣に比べて遊びの発達が遅れているように思われる。はたしてその通りか、そうした問題意識を持って、以下を読み進めたい。
(2018.4.13)