梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

2023年12月のブログ記事

  • 私家版・昭和万謡集・75・「親子舟唄」

    75「親子舟唄」(詞・藤田まさと 曲・大久保徳二郎 歌・田端義夫・白鳥みづえ) 《寸感》  母を亡くした娘とその父親が、艪を操りながら舟唄を歌う。・・・「暗い波間をギッチラコ、ギッチラコ、今日はどこまで行くのやら」当時、白鳥みづえは10歳、田端義夫は36歳であった。 (2023.12.31)

    nice! 1
  • 私家版・昭和万謡集・74・「麦畑」

    74「麦畑」(詞・榎戸若子 曲・榎戸若子 歌・オヨネーズ) 《寸感》  農村を舞台にした、若い男女、松つあんとおよねの相聞歌である。「オラでええのか」「オラおめえでええでば」、「オラ信じてええのか」「オラ絶対嘘つかね」、「オラ本当にハッピー」「オラも本当にハッピー」と言いながら「愛の花咲く麦畑」と... 続きをみる

    nice! 1
  • 私家版・昭和万謡集・73・「鴨川艶歌」

    73「鴨川艶歌」(詞・萩原四朗 曲・上原賢六 歌・石原裕次郎・久美悦子) 《寸感》京都を舞台にした、石原裕次郎と久美悦子の珠玉のデュエット曲である。久美悦子の《一途な》伸びのある歌声が、石原裕次郎のソフトな歌声に包まれて、はかない男女の逢瀬を見事に描出する。 (2023.12.29)

  • 私家版・昭和万謡集・72・「東京の人」

    72「東京の人」(詞・佐伯孝夫 曲・吉田正 歌・三浦洸一・柏木由紀子 《寸感》  現在、三浦洸一95歳、柏木由紀子76歳、今から57年前のデュエットである。折り目正しい端正な三浦洸一の歌声が、若々しい柏木由紀子の女声と響き合い、都会の哀愁を際立たせる。 (2023.12.28)

    nice! 1
  • 私家版・昭和万謡集・71・「さんさ恋時雨」

    71「さんさ恋時雨」(詞・石本美由紀 曲・岡千秋 歌・美空ひばり) 《寸感》 8年前に観た大衆演劇「たつみ演劇BOX」の舞踊ショー、葉山京香の舞姿が忘れられない。 (2023.12.27)

  • 私家版・昭和万謡集・70・「逢いたかったぜ」

    70「逢いたかったぜ」(詞・石本美由紀 曲・上原げんと 歌・岡晴夫) 《寸感》  3年ぶりに会った「男同士」が居酒屋で「酒くみ交わし」、昔を偲ぶ。高野公男と船村徹のしめっぽい「男の友情」に比べると、実に明るく爽やかである。「今度あの娘に出会ったならば“まめでいるよ”と言ってくれ」という頼み事にも、... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・69・「雨の田原坂」

    69「雨の田原坂」(詞・野村俊夫 曲・古賀政男 歌・神楽坂はん子) 《寸感》  うぐいす芸者の神楽坂はん子が、艶っぽい歌声で、「西南戦争」という武張った場面を凜として描出する。挿入される吟詠もひときわ魅力的である。 (2023.12.24)

    nice! 1
  • 私家版・昭和万謡集・68・「ふるさと列車」

    68「ふるさと列車」(詞・小山敬三 曲・船村徹 歌・青木光一) 《寸感》  一度は捨てた故郷へ、都会暮らしの「恋も望みも憧れも」振り捨てて、帰らなければならない。ホームで名残を惜しんでくれた人の涙が忘れられない。でも、すでに父は亡く、兄も旅だった今、母を一人ぼっちにさせるわけにはいかないのだ。 (... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・67・「十三夜」

    67「十三夜」(詞・石松秋二 曲・長津義司 歌・小笠原美都子) 《寸感》  河岸のたもとで巡り会った、幼馴染みの男女。「懐かしいやら、嬉しいやら」、でも男はまだ学生、女も半玉の身だから、添い遂げることはできない・・・。「さようなら」と、こよない言葉をかける他はなかった。 (2023.12.22)

    nice! 1
  • 私家版・昭和万謡集・66.「霧にむせぶ夜」

    66「霧にむせぶ夜」(詞・丹古晴己 曲・鈴木淳 歌・黒木憲) 《寸感》  また会えるとわかっているのに、別れがこんなに辛いとは、「こらえても こらても 睫毛がぬれる・・・」。黒木憲の歌声が、はかない恋の切なさをいっそう際立たせる。 (2023.12.21)

    nice! 1
  • 私家版・昭和万謡集・65・「筏流し」

    65「筏流し」(詞・水田茂 曲・森安勝 歌・越路吹雪) 《寸感》  今から15年前(平成20年)、立川大衆劇場で観た「劇団サキガケ」の座長・南条時宏の舞姿が忘れられない。劇団はその後「座夢舞倶羅」と名を改め、南条時宏も高峰調士となった。 (2023.12.20)

  • 私家版・昭和万謡集・64・「ダンスパーティーの夜」

    64「ダンスパーティーの夜」(詞・和田隆夫 曲・林伊佐緒 歌・林伊佐緒) 《寸感》  昭和20年代、盛んだったダンスパーティーで出会った男女、つかの間の逢瀬を重ねたが、終わりの時が来た。「熱い涙を溜めながら」「忘れましょうと言った君」、星が冷たく光っていた。 (2023.12.19)

  • 私家版・昭和万謡集・63・「南国土佐を後にして」

    63「南国土佐を後にして」(詞・武政英策 曲・武政栄策 歌・ペギー葉山) 《寸感》  昭和34年に作られた小津安二郎の映画「浮草」の中で、同じ年にヒットしたこの曲が二度ほど演奏される。その一は、嵐駒十郎一座がお披露目で街頭を練り歩く場面、その二は、町娘に扮した一座の座員・若尾文子と小坊主に扮した子... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・62・「惜別の唄」

    62「惜別の唄」(詞・島崎藤村 曲・藤江英輔  歌・三善英史) 《寸感》  島崎藤村の詩が素晴らしい。本来は嫁ぎゆく姉を見送る妹と姉の問答歌だったが、戦時中、中央大学の学生だった藤江英輔が、出征する友を送る歌として、「姉」を「友」に代えて作曲したという。戦後の私たちにとっても、高校時代の愛唱歌だっ... 続きをみる

    nice! 1
  • 私家版・昭和万謡集・61・「熱海ブルース」

    61「熱海ブルース」(詞・佐伯孝夫 曲・縞六郎 歌・由利あけみ)  《寸感》  小学校入学まで母方の祖母がいる静岡で過ごしたが、昭和26年に上京した。学校が休みになるたびに、静岡に遊びに行った。4年生からは一人で汽車に乗って行った。鈍行で4時間かかった。ちょうど中間に差し掛かると、車窓から熱海の町... 続きをみる

    nice! 1
  • 私家版・昭和万謡集・60・「僕は泣いちっち」

    60「僕は泣いちっち」(詞・浜口庫之助 曲・浜口庫之助 歌・守屋浩) 《寸感》  浜口庫之助は「泣いちゃった」という日本語を「泣いちっち」、「行っちゃった」を「行行っちっち」とデフォルメした。その音韻が彼の美学にかなったからであろう。そして、守屋浩の、やや翳りのある歌声が曲想を際立たせる。この二人... 続きをみる

    nice! 1
  • 私家版・昭和万謡集・59・「大阪ブギウギ」

    59「大阪ブギウギ」(詞・藤浦洸 曲・服部良一 歌・笠置シズ子) 《寸感》  有名な「東京ブギウギ」の陰に隠れた名曲である。大衆演劇「三河家劇団」の舞踊ショーで、花形・三河家諒が、この曲をバックに絶妙のコミックダンスを披露している。DVD に収められたその場面を観るたびに、大きな元気がわいてくる。... 続きをみる

    nice! 1
  • 私家版・昭和万謡集・58・「高原の駅よ、さようなら」

    58「高原の駅よ、さようなら」(詞・佐伯孝夫 曲・佐々木俊一 歌・小畑実) 《寸感》  別れの時が来た。ほんの短い逢瀬だった。再会を誓ったが実現できるだろうか。汽車が高原の駅を離れたとき、初めて男の頬に涙がこぼれ落ちた。小畑実、渾身の一作である。 (2023.12.13)

    nice! 1
  • 私家版・昭和万謡集・57・「マロニエの木陰」

    57「マロニエの木陰」(詞・坂口淳 曲・細川潤一 歌・松島詩子) 《寸感》  この歌は戦前(昭和12年)に作られたが、松島詩子によって戦後まで歌い継がれた。、淡谷のり子が「別れのブルース」を磨き上げたように、松島詩子もまたこの曲を、珠玉の名品に仕上げたのである。 (2023.12.11)

  • 私家版・昭和万謡集・56・「さすらい」

    56「さすらい」(詞・西沢爽 曲・狛林正一 歌・小林旭) 《寸感》  小学校からの友人Kが高校時代に歌い、仲間の愛唱歌になった。60年余り前のことである。Kは美術を専攻し、大学教授になった。5年前(平成31年)、74歳で旅立ったが、往時の歌声は今も聞こえる。 (2023.12.10)

    nice! 1
  • 私家版・昭和万謡集・55・「カスバの女」

    55「カスバの女」(詞・大高ひさを 曲・久保山明 歌・エト邦枝) 《寸感》  この曲は、昭和30年、映画「深夜の女」の主題歌として制作されたが、映画が制作中止となったので、自然消滅し、歌唱のエト邦枝も芸能界を去ることになった。その12年後、緑川アコがカバーしたところヒットし、竹越ひろ子、沢たまき、... 続きをみる

    nice! 1
  • 私家版・昭和万謡集・54・「刃傷松の廊下」

    54「刃傷松の廊下」(詞・藤間哲郎 曲・桜田誠一 歌・真山一郎) 《寸感》  大衆演劇「鹿島順一劇団」のラストショーで見聞した、二代目・鹿島順一の歌声が忘れられない。(2023.12.8)

    nice! 1
  • 私家版・昭和万謡集・53・「未練ごころ」

    53「未練ごころ」(詞・西沢爽 曲・遠藤実 歌・こまどり姉妹) 《寸感》  昭和38年に作られた映画「非行少女」(監督・浦山桐郎)の一場面に挿入されたこの曲が忘れられない。以下は、2年前に綴った私の駄文である。 (2023.12.7)

    nice! 1
  • 私家版・昭和万謡集・52・「水色のスーツケース」

    52 「水色のスーツケース」(詞・井田誠一 曲・利根一郎 歌・灰田勝彦) 《寸感》  「どこかで誰かが呼ぶような」気がして旅へ出た。荷物は水色のスーツケース、その中には「消えた恋の花束・秘めた歌の数々・数え切れない夢の花束」が入っている。悲しみを忘れるための旅が、南へ向かったとき、幸せをつかむ旅へ... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・51・「明日はお立ちか」

    51「明日はお立ちか」(詞・佐伯孝夫 曲・佐々木俊一 歌・三沢あけみ) 《寸感》  戦時下(昭和17年)、出征する夫を見送る妻の心情を、小唄勝太郎が艶やかに歌ったが、戦後、三沢あけみがカバーしている。それに際して、佐伯孝夫は歌詞を以下のように改めた。戦前には、思っても書けなかった詞なのかもしれない... 続きをみる

    nice! 1
  • 私家版・昭和万謡集・50・「ハバロフスク小唄」

    50「ハバロフスク小唄」(詞・野村俊夫 曲・島田逸平 歌・近江俊郎、中村耕造) 《寸感》  最近(2023年12月1日)、厚生労働省は「終戦後に旧ソ連に抑留され、シベリア・モンゴル地域で死亡した計9人の身元を新たに特定し、漢字氏名や出身地を同省ホームページで公表した。シベリア・モンゴル地域で個人を... 続きをみる

    nice! 1
  • 私家版・昭和万謡集・49・「ああモンテンルパの夜は更けて」

    49「ああモンテンルパの夜は更けて」(詞・代田銀太郎 曲・伊藤正康 歌・渡辺はま子、宇都宮清) 《寸感》  戦争は多くの「悲しみ」をもたらした。この歌の誕生について、ウィキペディア百科事典には、以下の記述がある。(2023.12.3) 《1952年(昭和27年)1月、歌手の渡辺はま子は、来日したフ... 続きをみる

    nice! 1
  • 私家版・昭和万謡集・48・「異国の丘」

    48「異国の丘」(詞・増田幸治・佐伯孝夫 曲・吉田正 歌・竹山逸郎、中村耕造) 《寸感》  以下は、7年前に綴った私の駄文である。(2023.12.2) 異国の丘

    nice! 1
  • 私家版・昭和万謡集・47・「岸壁の母」

    47「岸壁の母」(詞・藤田まさと 曲・平川浪竜 歌・菊池章子) 《寸感》  戦争が人々に「幸せ」をもたらしたことは、一度もない。シベリアに抑留された我が子を待ち続ける母の姿を、菊池章子が「涙をこらえて」歌う。ウィキペディア百科事典の「岸壁の母」には以下の記述があった。(2023.12.1) 《作詞... 続きをみる

    nice! 1