梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

2017年8月のブログ記事

  • 八月十五日

     夏休みなので、長野に住む小学4年生の孫がやってきた。彼は、保育園の時から空手を習い始め6年目になるが、これまで試合で勝ったことが一度もなかった。しかし、「継続は力なり」、最近の試合では3戦全勝で優勝したという。これまで負け続けていたのに「なぜ勝てたのか」、私は不思議でならなかった。そのことを孫に... 続きをみる

  • 「うたくらべ ちあきなおみ」の《魅力》

    インターネットのウィキペディアフリー百科事典・「ちあきなおみ」の記事に、以下の記述がある。〈1992年9月21日に夫の郷鍈治と死別した。郷が荼毘に付される時、柩にしがみつき「私も一緒に焼いて」と号泣したという。また、「故人の強い希望により、皆様にはお知らせせずに身内だけで鎮かに送らせて頂きました。... 続きをみる

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  • 「老いる」ということ・Ⅳ

     実にさびしく、情けない限りだが、私の人生は「終末」を迎えたようである。まだしばらくは、心臓をはじめとする内臓器官は機能するかもしれない、しかし、目がかすんできた。新聞、書物、ワープロ、ブログなどで「読み書き」をすることが億劫になってきた。このまま無理強いすれば、身辺処理、移動など、人間としての基... 続きをみる

  • 「老いる」ということ・Ⅵ

     (いつ終わりになってもおかしくない)私の人生は終末期を迎えた。物置同然の仕事部屋には、小・中学校時代の教科書、高校時代の詩集、大学時代の文学書、卒業論文、そして現役時代の専門書、研究論文などが、埃にまみれて山積している。梅雨明け前までに廃棄処分しようと思ったが、仕事はかどらない。一冊一冊どれを取... 続きをみる

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  • 「老いる」ということ・Ⅴ

     三十代をミソジ(三十路)、以降を同様にヨソジ(四十路)、イソジ(五十路)、ムソジ(六十路)という。では七十代は・・・?、多分、ナソジ?、そう思いながら、「七十路」をインターネットで検索すると驚いた。冒頭のサイトから高齢者のポルノ画像で埋め尽くされている。タイトルに曰く「七十路の動画89件 動画エ... 続きをみる

  • 「老いる」ということ・Ⅲ

     明け方、二階のベットで寝ていると、どこかでカラスが鳴き出した。カー、カーという声が、だんだん近づいて来る。数羽がお互いを確かめ合うように、カーと鳴くと、カーと応える。どうやらそのうちの一羽が窓の上まで来たらしい。ひときわ大きな声でカーと鳴いたので、私は思わず起きあがり、窓を開けて上を見た。そこに... 続きをみる

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  • 「老いる」ということ・Ⅱ

     いつもは午前中に外出をするが、なぜか気が乗らず、その分だけパソコンに向かう時間が延びたためであろう、腰に激痛が走り、立ち振る舞いが不自由になった。症状は「ギックリ腰の一歩手前」で、歩くこともままならない。重たい物を持ち上げたわけではない。パソコンの文字が小さいので前屈みになる姿勢が続いただけであ... 続きをみる

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  • 落とし物

     北海道・富良野、美瑛のフラワーガーデンを満喫して帰路に就く日、北海道大学札幌キャンパスに立ち寄った。古河講堂、クラーク像、ポプラ並木、大野池を経て、札幌農学校第二農場へと向かう。「都ぞ弥生の雲紫に 花の香漂ふ宴遊(うたげ)の筵(むしろ)・・・夢こそ一時青き繁みに 燃えなん我胸想ひを載せて・・・人... 続きをみる

  • 中年「若夫婦」の《稀有な孤高死》

     東京新聞朝刊29面に「横浜の団地 夫婦孤立死 57歳妻病死後、61歳夫餓死」という見出しの記事が載っている。その内容は以下の通りであった。〈横浜市○○区○○5の県営団地の一室で18日、この部屋に住む夫婦の遺体が見つかっていたことが22日、神奈川県警○○署への取材で分かった。司法解剖の結果、妻(5... 続きをみる

  • ひろさちや、という人を御存知か

     ひろさちや、という人を御存知か。「(本名・増原良彦)略歴 昭和11年、大阪市に生まれる。昭和35年、東京大学文学部印度哲学科卒業。昭和40年、同大学院博士課程修了。その後、気象大学校講師となり、20年間教壇に立つ。現在、「まんだらの会」会長、仏教思想の研究、執筆、講演に活躍中。著書『仏陀に還れ』... 続きをみる

  • 戦争をしない「自衛隊」

    日本の「自衛隊」は、戦争をしない。なぜなら、「日本国憲法」に、以下のように規定されているからである。〈第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。2 前項の目的を達する... 続きをみる

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  • 70回目の「夏」

     梅雨明けも間近、私にとって70回目の「夏」がやって来る。少年時代、「夏」という言葉を聞くだけで胸躍ったが、今は逆である。お世話になったあの人は老いを重ね、この「夏」を無事超せるだろうか。親しかったあの友は病の身、その症状が急変することはないか。それにしても、往時の「夏」は今より涼しかった。気温は... 続きをみる

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