小説・「黄昏のビギン」・第8章・《魔法瓶》
シロを犬小屋に置き、私たちは家の中に入った。 私は、散歩の途中、マリ子に会い、今、自宅で保護していることをユキに知らせておかなければならないと思った。 「そうだ。お母さんに電話しておこう」 しかし、マリ子はキッとした表情で私をにらみつけ、 「ヤメテ!」 と、大声で叫んだ。 「どうして? 心配... 続きをみる
古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。
シロを犬小屋に置き、私たちは家の中に入った。 私は、散歩の途中、マリ子に会い、今、自宅で保護していることをユキに知らせておかなければならないと思った。 「そうだ。お母さんに電話しておこう」 しかし、マリ子はキッとした表情で私をにらみつけ、 「ヤメテ!」 と、大声で叫んだ。 「どうして? 心配... 続きをみる
この前は、私よりシロの足取りの方が力強かったが、今回は違う。いつもの散歩コースをあっという間に通り抜け、三時ピタリ、シロと私は駅前の広場に到着した。(いつもの所、いつもの所・・・)はやる気持ちをおさえて噴水のベンチを見ると、花形親子がにこやかな笑みを浮かべてたたずんでいた。 「ごぶさたしました... 続きをみる
生きているときは誰かが欲しいのか。「一緒に生きる」とは、同居することではない。その人のことを「想う」ことであり、面影を抱くことである。心の中にぽっかりと穴があくのは、その面影が消え去ったと言うことであろう。 今、私の心の中に誰の面影も浮かんでこない。それを「さびしい」と感じるか、「きれいさっぱり... 続きをみる