梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

気象庁の《説明不十分》

〈気象庁は1日、7月の天候まとめを発表した。東日本の月間平均気温は平年を2.8度上回り、1946年の統計開始以来、最も高かった。7月23日には埼玉県熊谷市で国内観測史上最高の41.1度を記録。同庁の竹川元章予報官は、この猛暑は7月上旬の西日本や東海を中心とする豪雨とともに、「30年に一度以下の頻度で起こる異常気象であったと言える」と話した。竹川予報官は一方で、「起こるはずのないことが起こったわけではない。地球温暖化が進行し、大雨や顕著な高温が長期的に増えている。将来も増えると予想されている」と説明した。この猛暑は太平洋高気圧が日本に張り出し、上空のチベット高気圧も重なって、暖かい空気に覆われたのが要因。5年前に高知県四万十市で当時最高記録の41.0度を観測した際も同様の状況だった。〉(時事通信社・2018/8/1)
 上の記事で疑問に思うのは「30年に1度以下の頻度で起こる異状気象」だと言いながら、「起こるはずのないことが起こったわけではない。地球温暖化が進行し、大雨や顕著な高温が長期的に増えている。将来も増えると予想される」と説明している点である。私たちが知りたいのは、今回の異状気象は30年に1度以下にしか起こらない珍しい出来事なのか、それとも地球温暖化が進行して、今後「たびたび起こる」おそれがあるのか、という一点である。「それはお天気次第、誰にもわからない」とでも言うのなら、気象庁の存在理由はない。少なくとも、5年前には41度という最高気温を記録しているのだから、「30年に1度」という頻度の《根拠》は何かを示さなければ、説明としてはきわめて不十分であろう。さらに言えば、異常気象の要因として考えられる「地球温暖化」に対して、どのように対処すべきか、についても気象庁は見解を示すべきである。「地球温暖化」「異常気象」をまるで《他人事》のように考えている気象庁に、国民が払う税金はないのである。(2018.8.2)