梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

カラスなぜ鳴く

 昔のカラスは、「山に可愛い七つの子がある」(野口雨情・1921年)から鳴いたり、その子らが育って「コケコッコのおばさんに赤いお帽子ほしいよ」(海沼実・1939年)といって鳴いたが、今のカラスはなぜ鳴くか。
 カラスは太古の昔から人間と「共に」生きてきた。それゆえに、人間の来し方・行く末を知り尽くしているのだ。とりわけ、人間の愚かさ、欲深さが、いつになっても払拭されないことに呆れている。他の動物たちは「身の丈に応じた」知足の生活を粛々と送っているのに、人間は、いつまで性懲りも無く、同じ過ちを繰り返すのだろうか。人間同士が殺し合い自滅の道をたどることは「カラスの勝手」(ザ・ドリフターズ・1980年代)とはいえ、生物の起源である「地球」(海・大地・空気)を破壊することは許されない。
 だから、今のカラスは鳴くのではない。嗤っているのである。「アホー、アホー」と人間を見下しているのだ。そのことに気づいている人間もいないわけではない。
◆寒鴉歩く聖書の色をして(高瀬祥子・2013年)・・・・。
(2017.4.7)