梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

大衆演劇・劇団素描「葵一門劇団鯱」(座長・葵政次)

【葵一門 劇団鯱】(座長・葵政次)〈平成20年9月公演・佐倉湯ぱらだいす〉
 この劇団はすでに見聞済み(平成20年4月公演・つくば湯ワールド)ただし、その時は夜の部、舞踊ショーのみだったので、強い印象は残っていない。「劇団紹介」によれば、「初志貫徹でひたむきに前へ。葵政次座長を筆頭に座員たちがそれぞれの個性を引き立たせ、フットワークとチームワークも絶妙。座長の息子であるベビー翔、ベビー響など子役たちも元気いっぱいに、舞台せましと駆け回る。アットホームな温かい雰囲気を感じさせてくれる劇団です」というキャッチフレーズ。プロフィールは、「葵一門劇団鯱 演友会所属。名門である葵一門・葵好次郎総帥の元で舞台を学ぶ。舞台で劇団員全員が引き立つように心掛けている。向上心あふれる将来楽しみな劇団である。ベビー翔、ベビー響は座長の息子で、舞台で活躍中。座長 葵政次 昭和48(1973)年1月13日生まれ。神奈川県横浜市出身。血液型B型。初舞台は16歳。男気あふれる性格で、師匠である葵一門・葵好次郎総帥にあこがれ、葵一門の芸の流れを継承している。芝居を何よりも大切にし、情熱を持ち日々の舞台に励んでいる」とある。
 芝居の外題は、昼の部「武士道無情花吹雪」(お祭り半次郎)、夜の部「十三峠」(仲乗新三・夜鴉銀次)、いずれも大衆演劇の定番。形どおりの筋書を、形どおりに演じる「誠実さ」に好感が持てた。この劇場は「初めて」とあって、客との「呼吸の合わせ方」がややとまどいがちだったが。座長自身は、葵一門総帥・葵好次郎に「憧れて」入門したとのこと、だとすれば「役者の家で育った」わけではない、どこか「素人っぽい」雰囲気を漂わせているところが「魅力的」である。副座長・葵純也、男優・葵敏美、鳳弥太郎、海道清、女優・北条マキ、美鈴陽子、子役・兜獅子丸、蛇じゃ丸(?)らと「役者は揃っている」。(ベビー翔、ベビー響は改名したのだろうか?)仲乗新三(葵敏美・好演)の母親役を演じた女優(長谷川竜子?芸名は定かではない)の芝居・歌唱は「絶品」、九州の「小林劇団」リーダー・小林真弓と肩をならべる「実力」であった。
(2008.9.15)