梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「旧約聖書」通読・《創世記》・第23章

■第23章
・サラの一生は127年であった。サラはカナンの地のキリアテ・アルバすなわちヘブロンで死んだ。アブラハムはサラのために悲しみ泣いた。アブラハムは死人のそばから立って、ヘテの人々に言った。「わたしは旅の者で寄留者ですが、わたしの所有として一つの墓地をください」。ヘテの人々は言った。「わが主よ、あなたは神のような主君です。われわれの墓地の最も良い所にあなたの死人を葬りなさい。それを拒む人はひとりもないでしょう」。アブラハムはヘテの人々に礼をして言った。「ゾハルの子エフロンに頼み、彼が持っている畑の端のマクベラのほら穴をじゅうぶんな代価でわたしに与え、墓地を持たせてください」。エフロンはヘテの人々の中にすわっていた。エフロンはヘテの人々の聞いているところでアブラハムに言った。「いいえ、わが主よ、あなたはあの畑をあなたにさしあげます。その中にあるほら穴もさしあげます。あなたの死人を葬りなさい」。アブラハムは礼をし、エフロンに言った。「わたしは畑の代価を払います。お受け取りください。わたしの死人をそこに葬りましょう」。エフロンはアブラハムに言った。「あの地は、銀400シケルですが、これはわたしとあなたの間で、なにほどのことでしょう。あなたの死人を葬りなさい」。そこでアブラハムはエフロンの言葉にしたがい、銀400シケルを量ってエフロンに与えた。こうしてエフロンの畑はアブラハムの所有と決まった。アブラハムはサラを畑のほら穴に葬った。このように畑とその中にあるほら穴とはヘテの人々によってアブラハムの所有の墓地と定められた。
(2021.9.24)

「旧約聖書」通読・《創世記》・第22章

■第22章
・これらの事の後、神はアブラハムを試みて言われた。「あなたの子、イサクを連れてモリヤの地に行き、わたしが示す山で、彼を燔祭としてささげなさい」。アブラハムは朝早く起きて、ろばにくらを置き、ふたりの若者と、イサクを連れ、燔祭のたきぎを割り、神が示された所に出かけた。3日目に、アブラハムは目をあけて、はるかにその場所を見た。そこでアブラハムは若者たちに言った。「あなたはたはロバと一緒にここにいなさい。わたしとわらべは向こうへ行って礼拝し、そののち帰ってきます」。アブラハムは、燔祭のたきぎを取って、イサクに負わせ、手に火と刃物とを執って、ふたり一緒に行った。やがてイサクは言った。「父よ。火とたきぎとはありますが、燔祭の小羊はどこにありますか」。アブラハムは言った。「子よ。神みずから燔祭の小羊を備えてくださるであろう」。こうしてふたりは一緒に行った。
・彼らが神の示された場所にきたとき、アブラハムはそこに祭壇を築き、たきぎを並べ、その子イサクを縛って、祭壇のたきぎの上に載せた。そしてアブラハムが手を差し伸べ、刃物を執ってその子を殺そうとした時、主の使いが天から彼を呼んで言った。「アブラハムよ、わらべを手にかけてはならない。また何も彼にしてはならない。あなたのひとりの子さえ、わたしのために惜しまないので、あなたが神を恐れる者であることをわたしは今知った」。この時、アブラハムが目をあげて見ると、うしろに、角をやぶに掛けている一頭の雄牛がいた。アブラハムはその雄牛を捕らえ、その子のかわりに燔祭としてささげた。それでアブラハムはその所の名をアドナイ・エレと呼んだ。これにより、人々は今日もなお「主の山に備えあり」と言う。
・主の使いは再び天からアブラハムを呼んで、言った。「主は言われた。『わたしは自分をさして誓う。あなたがこの事をし、あなたの子、あなたのひとり子をも惜しまなかったので、わたしは大いにあなたを祝福し、大いにあなたの子孫をふやして、天の星のように、浜辺の砂のようにする。あなたの子孫は敵の門を打ち破り、またもろもろの国民はあなたの子孫によって祝福を得るであろう。あなたがわたしの言葉に従ったからである』」。アブラハムは若者たちの所に帰り、みな立って、共にベエルシバへ行った。そしてアブラハムはベエルシバに住んだ。
・これらの事の後、ある人がアブラハムに告げて言った。「ミルカもあなたの兄弟ナホルに子どもを産みました。長男はウズ、弟はブズ、次はアラムの父ケムエル、次はケデデ、ハゾ、ビルダシ、エデラフ、ペトエルです」。ベトエルの子はリベカであって、これらの8人はミルカがアブラハムの兄弟ナホルに産んだのである。ナホルのそばめで、名をルマという女もまたテバ、ガハム、タハシ、マアカを産んだ。
(2021.9.23)

「旧約聖書」通読・《創世記》・第21章

■第21章
・主は、さきに言われたようにサラを顧み、告げられたようにサラに行われた。サラはみごもり、男の子を産んだ。アブラハムはその子をイサクと名づけた。アブラハムは神が命じられたように、8日目にイサクに割礼を施した。その時、アブラハムは100歳であった。サラは言った。「神はわたしを笑わせてくださった。聞く者は皆わたしのことを笑うでしょう」。また言った。「サラが子に乳を飲ませるだろうと、だれがアブラハムに言い得たであろう。それなのに、わたしは彼が年とってから子を産んだ」。
・さて、おさなごは育って乳離れした。イサクが乳離れした日にアブラハムはさかんなふるまいを設けた。サラはエジプトの女ハガルの産んだ子がイサクと遊ぶのを見て、アブラハムに言った。「このはしためとその子を追い出してください。このはしための子は世継ぎとなるべき者ではありません」。この事で、アブラハムはその子のために非常に心配した。神はアブラハムに言われた。「あのわらべのため、あなたのはしためのために心配することはない。サラがあなたに言うことはすべて聞きいれなさい。イサクに生まれる者が、あなたの子孫と唱えられるからです。しかし、はしための子もあなたの子ですから、これをも一つの国民とします」。そこでアブラハムは明くる朝はやく起きて、パンと水の皮袋を取り、ハガルに与えて、肩に負わせ、その子を連れ去らせた。ハガルは去ってベエルシバの荒野にさまよった。
・やがて皮袋の水が尽きたので、彼女はその子を木の下におき「わたしはこの子の死ぬのを見るに忍びない」と言って、矢の届くほど離れていき、子供の方に向いてすわった。そのとき、子供は声をあげて泣いた。神はわらべの声を聞かれ、神の使は天からハガルを呼んで言った。「ハガルよ。どうしたのか。恐れてはいけない。神はわらべの声を聞かれた。立って行き、わらべを取り上げてあなたの手に抱きなさい。わたしは彼を大いなる国民とするであろう」。神がハガルの目を開かれたので、彼女は水の井戸のあるのを見た。彼女は皮袋に水を満たし、わらべに飲ませた。神はわらべと共にいまし、わらべは成長した。彼は荒野に住んで弓を射る者となった。彼はバランの荒野に住んだ。母は彼のためにエジプトの国から妻を迎えた。
・そのころ、アビメレクとその軍勢の長ビコルはアブラハムに言った。「あなたが何事をなさっても、神はあなたと共におられる。それゆえ、今ここでわたしをも、わたしの子をも、孫をも欺かないと、神をさしてわたしに誓ってください。わたしがあなたに親切にしたように、あなたもわたしとあなたの寄留地のためにしなければなりません」。アブラハムは言った。「わたしは誓います」。
・アブラハムはアビメレクの家来たちが、水の井戸を奪い取ったことについてアビメレクを責めた。しかしアビメレクは言った。「だれがしたか、わたしは知りません。あなたもわたしに告げたことはなく、わたしもきょうまで聞きませんでした」。そこでアブラハムは羊と牛とをアビメレクに与え、ふたりは契約を結んだ。アブラハムが雌の小羊7頭を分けて置いたところ、アビメレクはアブラハムに言った。「なんのためですか」。アブラハムは言った。「あなたはこれらの雌の小羊7頭を受け取って、わたしがこの井戸を掘ったことの証拠としてください」。これによってその所をベエルシバと名づけた。彼らがふたりでそこで誓いをしたからである。彼らはベエルシバで契約を結び、アビメレクとその軍勢の長ピコルはペリシテの地に帰った。アブラハムはベエルシバに1本のぎょりゅうの木を植え、その所で永遠の神、主の名を呼んだ。こうしてアブラハムは長い間ペリシテびとの地にとどまった。
(2021.9.22)