梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・64

6 言語的伝達の機能の初期分化
【要約】
 ここへきてようやく言語的な行動の第1歩がはじまる。それは、言語形式に従う適応的な伝達の開始ということである。この期から、子どもは言語を利用して外界に適応する方法を徐々に、しかし積極的に習得していく。
 まず、初語の問題をとりあげ、つぎに呼びかけから、質問・報告にいたる言語的伝達の諸種の機能の初期発達について考える。


【感想】
 私は、言語発達はまず「声」(主として泣き声)の「やりとり」に端を発し、それが「気持ち」(心の動き)を表す「叫び声」「呼びかけ」「返事」に発展する、それらは「声」の大小、高低、リズム、抑揚、アクセントなどを「使い分けて」表され、やがて、「感動詞」「接続詞」「陳述副詞」「助詞」「助動詞」に変化していく、要するに、時枝文法でいう「辞」(主体的表現)が、言語的伝達機能の《中核・根幹》である、と考えている。
 自閉症児の言語発達をみると、まず「辞」よりも、「名詞」「動詞」「形容詞」など実体をを表す「詞」(客体的表現)の方から習得していく傾向はないか、あるとすれば、なぜなのか、ということに私の関心は集中している。私の仮説について、著者はどのような見解を示すだろうか。興味深く、以下を読み進めたい。(2018.8.6)