梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

林檎

  二つ三つ孫の歯形の林檎かな


【補説】
 幼子が、ようやく生え揃った乳歯で、真っ赤な林檎に齧りついた。祖母は微笑みながら林檎を「うさぎ」に切り揃え提供する。縁側で秋の日射しをいっぱいに浴びながら・・・。



 林檎箱卓袱台がわりの新所帯


【補説】
 若夫婦の住処は四畳半一間、故郷から送られてきた林檎箱を食卓にして語り合う。秋の夜の淡い思い出・・・。
(2016.10.1)

彼岸花

彼岸花手を振る人を振り返る


【補説】
 俗謡に「いい奴ばかりが先に逝く どうでもいいのが残される」とあるが、私は未だに此岸に居て、逝ってしまった人が手を振る姿を思い浮かべている。今年もまた陋屋の玄関先には、彼岸花が一輪、花開いた。
(2016.9.27)

有効な渇水対策を!

 7月末現在、矢木沢ダムの貯水率は34.8%である。予報では今夏は残暑が厳しいという。ダムの管理者は節水を呼びかけているが、貯水率34.8%という数字の意味を住民に知らせることが肝要だ。住民は、このまま雨が降らないとしたら、《あと何日で》給水制限(断水)をしなければならなくなるか、という情報が知りたいのである。また同時に、首都圏各地域の水道使用量も公表すべきである。一部の住民だけが節水に努めたとしても、効果は上がらない。どこの地域が一番、水を使っているか、またどこの地域が節水の効果を上げているかを知ることにより、はじめて住民は節水の呼びかけに応えることができるのである。国土交通省はじめ水道局、各関係機関の住民目線での対応を期待する。
(2016.7.31)