梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「ここまでわかった新型コロナ」(上久保靖彦、小川榮太郎・WAC・2020年)要約・2・《第一章 専門家、マスコミの迷妄を正す》

《第一章 専門家、マスコミの迷妄を正す》
■マスク、三密、清潔もウィルスには全く関係ない
【上久保】三密と、顕微鏡で見ることもできない微少なウィルス(コロナウィルスは0.1マイクロメートル)の飛散や感染とは全然関係がない。三密でも、三密でなくても、うつるときはうつる。マスクも関係ない。不織布マスクでも穴は直径約5マイクロメートル(コロナウィルスの50倍)だから、理屈上、通り抜ける。いくらかは遮断されて、ウィルス量は少しは少なくなるが、自分がうつるかどうかというのは、マスク着用とは全く関係ない。
【小川】ウィルスを持っている人がクシャミをした場合などは、マスクの着用である程度防げるか。
【上久保】静かにしていたら飛ばないが、咳を1回バーンとやったら同じことだ。マスクに感染拡大を抑止する可能性があるとしたら、使い捨てにしたときだ。医療関係者が病院の中で、サージカルマスクをちゃんとやれば、手術のときには飛ばさない、それは感染を防ぐが、それを使い回しした途端に、もう意味はなくなる。無菌処理をしていない場所に置いた途端に、ウィルスがあれば入る。
【小川】「清潔」というのは、ウィルスの感染と因果関係があるか。
【上久保】「清潔」という場合、街中の掃除がきれいにしてあるとか、台所の水回りがきれいとかいうことを指していると思うが、人間から見て清潔と言っても、街中どこでもウィルス、細菌はうようよいる。清潔の定義が間違っている。
■要は免疫のある無しだけ
【小川】ウィルスにおける清潔というのは、きれいな台所とか、掃除しなければとか、手を洗っていないから汚いとか、これはウィルスとは全然関係ない。
【上久保】まったく関係ない。手を洗って、蛇口に触れた途端にウィルス感染の局面から見れば不潔なのだ。人間的な意味で清潔と言っても、医学の観念でいうと全部不潔だ。
【小川】医学的な意味で、ウィルス感染を阻止できる清潔さと、日本が民度が高いからウィルスの感染、暴露が少なかったというのは、ずれた議論だということか。
【上久保】そうだ。密というのも幻想だ。要は免疫があるかないかだけの話だ。免疫があれば抱き合ったって、キスしたって、悪いことは起こらない。
【小川】人からネコ、犬に新型コロナは感染しているようだ。ネコや犬は、そこら中、舐めながら散歩している。飼い主としょっちゅう接触している。
【上久保】もう黴菌だらけ、犬もネコも舐めまくっている。ここにコロナウィルスがいて、そこをぺろっと舐めても、免疫を持っていたら大丈夫、いなければ感染するということだ。


【感想】
・今でも励行されているマスク着用、3密回避(換気)、清潔(手洗い等)でウィルスの「感染防止」は《できない》、《うつるときはうつる》と断言しているところが興味深かった。専門家、マスコミの迷妄が、社会全体を大きく混乱させていることは間違いないだろう。要は、免疫の有無であり、ワクチンによって免疫を獲得できるかどうか、そこが問題だと思われる。
(2021.1.21)

厚生労働省ホームページの《不具合》

 厚生労働省のホームページに、新型コロナウィルス感染症の「発生状況」が表示されている。①PCR検査実施人数、②陽性者数、③入院治療等を要する者の数(④うち重症者数)、⑤退院又は療養解除となった者の数、⑥死亡者数。⑦確認中という欄があり、連日、その数値が示されている。
 ちなみに1月20日現在の数値は以下の通りである。
①6053480 ②339774 ③69504(④1014))⑤264987 ⑥4647 ⑦1280
この数値からわかることは、おおむね以下のようになるだろう。
1《これまで》にPCR検査受けた人数は約605万人で、そのうち陽性者は約34万人だった。(陽性率5.6%)
2《現在》入院治療等を要する者(発症者=患者)は約7万人で、そのうち重症者は約1000人である。 
3《これまでに》約26万5千人が退院した。(退院率=退院者数÷陽性者=77.9%)4《これまでに》4647人が死亡した。(死亡率=死亡者数÷陽性者=1.3%) 
 また、「確認中」という欄があるが、よくわからない。*印がついており、陽性者から入院治療等を要する者、退院又は療養解除となった者、死亡者を減じた数と説明されているが、その数値(の推移)にどのような意味があるのだろうか、私にはよくわからない。 いずれにせよ、「発生状況」の表からわかることは、《この程度》のことでしかない。この表示の根本的不具合は、すでにみたように《これまで》の数値(累計)と《現在》の数値(現在値)が、同じ表の中に《並記》されていることだと私は思う。知りたいことは、《今日1日》で何人が検査を受け、そのうち何人が陽性だったか、そのうち発症者は何人だったか、そのうち重症者は何人か、また死亡者は何人だったか、という情報であり、その数値が《1日ごとにどのように推移していくか》を明らかにすることが、「発生状況」を表すうえで重要なのだ。
 私はこれまで、「発症率」(発症者の陽性者に対する割合)を③÷④で計算してきたが、③は累計であり④は現在数だから、本来「計算不能」の虚妄な数値(割合)を見てきたことになる。
 陽性者のうち8割弱の患者が退院していく中で、「自宅療養中に容体が急変して死亡した」症例が数多く報道されている毎日だが、未だに「不安を煽る」メディアの姿勢は続いている。厚生労働省もまた、いつまでこの不具合の表示を続けるつもりだろうか。
(2021.1.21)

「ここまでわかった新型コロナ」(上久保靖彦、小川榮太郎・WAC・2020年)要約・1・《はじめに》

《はじめに》(小川榮太郎)
・2020年9月1日現在、日本での新型コロナウィルスによる死者は累計1249人で、死者全体(推計70万人)の0.1%強に過ぎない。死亡者の平均年齢は79.3歳、院内感染による死亡が4割を超えるとされている。
・一方、日本経済は(マスコミによる凄まじい煽りを受けて)壊滅的な減収が続いている。・世界規模での危機も深刻だ。前年からGDP35%減と考えられる。世界史上空前の現象だろう。
・ウィルスそのものの脅威よりも、はるかに巨大な、誤った煽動による社会経済生活の破壊が進行しただけだったのではないか。
・コロナウィルスそのものは、元来、平凡で微弱な症状を引き起こす風邪ウィルスだ。
当初、今回変異したコロナウィルスは、通常のコロナウィルスとは全く別物だと恐怖したのは無理もないが、時間が経つにつれ、ウィルスの正体が徐々に明らかになり始める。
・5月に山中伸弥京都大学教授が「ファクターXは何なのか」を世に問いかけた。それに対して様々な議論が寄せられたが、「説」を立てて、世界中の感染状況の差異を説明しようとしたのが、上久保靖彦京都大学大学院特定教授と高橋淳吉備国際大学教授の研究チームである。このモデル理論は、マスコミでは「集団免疫説」として大きく採りあげられ、世界からも注目されている。しかし充分理解されているとは言い難い。当初の恐怖を引きずり、常識や前提を忘れた議論が横行している。マスコミの扇情的な報道が続き、科学者が冷静で科学的な説明をしにくい空気を作り続けてしまった。歪なメディア空間が醸成され、日本社会は半年にわたりフリーズを続けてきた。
・本書では、ウィルスとは何か、免疫とは何かの確認から始まり、集団免疫論がどう構築されたか、「新型コロナウィルス」とは何なのかを詳しく解説していただき、今後、どのように対処し、ふるまうべきかを話していただいている。根拠を充分示して説明していただいたものと自負している。


【感想】
・本書が発行されたのは2020年10月なので、以来3か月が経っているが、未だに日本社会の「フリーズ」は続いているようである。
・「コロナはただの風邪」というだけで「村八分」にされるか、無視される空気はまだ続いている。大学の共通一次試験の受験生が、マスクから鼻を出していただけで「不正行為」として糾弾される世の中なのだから・・・。
・今後、どう対処し、どうふるまうべきか、興味を持って読み進めたい。
(2021.1.20)