梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

抜歯

 自宅近くのデンタルクリニックで左下奥歯を抜いた。血液サラサラの薬を飲んでいるので、医師は極めて慎重である。「今日の気分はどうですか。血圧は高くありませんか?」「気分は普通です。血圧は120程度です」「では左下の奥の歯を抜きましょう」。抜かなければ、今後も虫歯が悪化してさらに症状が重くなるということである。その後の処置はインプラントにするか、入れ歯にするか。インプラントは保険が効かないので高額になるが、今まで通り「違和感なく」噛めるようになる。入れ歯は安いが、手入れも必要だし「噛み具合」もインプラントほどではない、まだ処置まで時間がかかるので検討しておくように、という説明を受けた。
 抜歯(外科処置)は、麻酔注射の後、15分ほどで終了したが、「相当に」痛かった。「痛いときには左手を挙げてください」と言われたので、2回ほど手を挙げた。でも「我慢できないほど」ではなかったので、もう手を挙げるのは止めた。歯が無事抜けた時、その跡を縫合している時も「相当に」痛かった。「お疲れさまでした。終わりです。口をゆすいでください」と言われるところだが、今回は違っていた。「終わりました。口はゆすがないでください」と言って、抜いた歯を見せてくれる。なるほど「根っこ」は残っているが、「上の部分」はほとんどなく、側面は蝕まれていた。「血液サラサラの薬を飲んでいるので、血が止まらないようでしたら、ガーゼを10分程度噛み続けてください。激しい運動は控えて、長風呂や、飲酒喫煙は避けてください。痛み止めを出しますので、麻酔が切れる前に飲んでください。歯みがきはブラシだけでやってください。うがいはしないように」など、いつになくきめ細かな説明があった。そして「明日も消毒に来てください」ということで診療は終わった。
 帰宅後、まもなく出血は止まり、痛みが増すことはなかったので、「ひとまず安堵」という状態である。抗生物質を服用する必要がある明日一日まで自重しよう。
(2019.1.4)