梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「ここまでわかった新型コロナ」(上久保靖彦、小川榮太郎・WAC・2020年)要約・16・《■K型が一月十三日に入ってきた証拠》

■K型が一月十三日に入ってきた証拠
【上久保】武漢閉鎖は1月23日だ。武漢の人口は約1300万人、武漢閉鎖の噂が流れた途端に、500万人が武漢から中国、世界全土に出て行って、その日には、成田に9000人が移動したと武漢市長が言っている。また、2月3日の衆院予算委員会では、森雅子法相が1月20日から2月1日までの10日間で、中国から341800人が訪日していると答弁している。武漢市閉鎖」までの4日間で、武漢市から直行便で1700人が日本に入国しています。外務省に調べてもらったところ、11月から2月28日まで中国からの訪日人数は184万人だった。クルーズ船は2月3日入港だが、その前にこれだけ入っている。
【小川】つまり、変異初期のS型の段階で、中国から100万人単位で人が来て、銀座、心斎橋、京都、福岡・・・どこでも繁華街では濃厚接触している。11月から1月までにS型の曝露もすごい数がいて、K型が入る1月中旬からも制限していないからフリーで入ってきた。インフルエンザ曲線が日本中で1月13日近辺の週で急滅しているから、K型はそこで入った。
【上久保】クラスター班が何人で追跡しているかは知らないが、数百万人もの中国からの旅行者が訪日している。それを2月下旬から少人数で追跡して効果があるかどうか。クラスター追跡法はエボラ出血熱などには効果はあるだろう。新型インフルエンザに関しては研究中だ。
【小川】12月23日、S型の入ったときは、あまりくびれがないが、K型で、インフルエンザが突然日本から消える。なぜこんなに大きな差が出るのか。
【上久保】これはT細胞性の免疫を起こす力だ。S型ウィルスでできたT細胞免疫ではサイトカインが弱いので、インフルエンザの感染カーブの抑え方が弱い。一方、K型でできたT細胞免疫は充分な量のサイトカインを出すと考えられる。だから充分にインフルエンザの感染を抑えられたのではないか。しかし、実験室の中では検体がなければ調べられない。
【小川】要するに、ウィルス干渉の強さから逆算したということか。
【上久保】そうだ。
【小川】そこが仮説とされる所以だ。しかし、今回のインフルエンザは、例年より早くて強いと言われていた。それが例年の三分の一で収束したので、上久保説の妥当性を感じる。


■コロナに用心したからインフルエンザが流行らなかった?
【小川】コロナでみんなが用心したからインフルエンザも流行らなかったと、まことしやかに言われた。しかしコロナで日本中が騒ぎ出したのは2月に入ってからだ。インフルエンザ曲線を見ると、1月13日の週で急滅している。コロナで用心したことは関係ない。コロナなんか誰も知らないときに、インフルエンザは消えていた。
【上久保】アメリカは、インフルエンザのブームが例年になく大きかった。6万人も亡くなっている。
【小川】日本とは逆に、インフルエンザの方が猛威をふるってしまった。
【上久保】そうだ。だからコロナが入りにくかった。
【小川】これだけの相関性があるのに議論の俎上に載せない専門家たちはどうなっているのか。
【上久保】私どものモデル理論も証明されていくということは必要だ。時間がある程度経たないと、証明されてはいかないのは仕方がないかもしれない。
【小川】こういう議論は実証の方があとに来る。
【上久保】あとになったら分かる。科学者は必要性があるときには、大胆に踏み込んででも、予測スコアを出すべきだと思う。


【感想】
・上久保氏らの「集団免疫説」は、《時間がある程度経たないと証明されていかない》。だから《相手にされない》《無視される》ように見えるのかもしれない。ただ、インフルエンザとの相関性が《ある》ということは、事実が証明しているのではないだろうか。
・2月7日までの「緊急事態宣言」は、さらに1か月延長された。感染者の拡大が止まらないためだろうか。入院治療等を要する発症者(患者数)は6万人台から4万人台に、重症者は1000人台から900人台に「減少」《し始めているような》気がするのだが・・・・。
(2021.2.3)