梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「ここまでわかった新型コロナ」(上久保靖彦、小川榮太郎・WAC・2020年)要約・17・《第四章 新型コロナウィルスの正体》

《第四章 新型コロナウィルスの正体》
■新型コロナには免疫しか決め手はない
【小川】職場の女性が、2月半ばに38℃ぐらい発熱してすぐ治まるというこ
とがあった。この半年、身近でもちょっとした風邪の症状は随分多い。
【上久保】それはK型だろう。女性の症状は1日で終わってしまうことが多
い。男性で喫煙者は痰とか咳が1か月近く続く。
【小川】1日や半日で症状が消えたり、咳が続くという人はたくさんいた。P
CR検査をしたら陽性だったのか。
【上久保】街中を歩けば、ほぼ100%は感染する。
【小川】ウィルスと人類の共存という問題と絡んでくる。人とエボラは共存で
きないが、インフルエンザやコロナは、共存を続けてきた。例年より大きな被
害をもたらしたとはいえ、基本的に、隔離したり制圧できるものではない。
【上久保】免疫しか決め手はない。人間にはもともと自然免疫がある。新型コ
ロナでは更に獲得免疫が形成されている。抗体がその指標となるが、短期決戦
用の抗体がIgM、長期にわたって有効なのがIgGだ。病初期には、IgMという免
疫グロブリン抗体が上がるが、それでは充分に抑え込めない。あとから出てく
るIgGという免疫グロブリ抗体が長期にわたって有効で強い抗体だ。今回の新
型コロナウィルスでは、それを裏付ける研究が最近発表された。8月13日に
発表された村上康文東京理科大教授の抗体定量検査だ。村上教授は首都圏38
2人の検体をサンプルに使用して、IgM、IgGを数カ所の遺伝子情報から調べ、
サンプル例を公表した。2人、値の高い人がいるが病院に入院している人だろ
う。IgMが先に上がっている。初感染パターンだ。初めて感染した時はIgMが先
に上がる。それ以外の多くの人のサンプルの場合、量は少ないがきちんと出て
いる。全例においてIgMとIgGとが同時に上がっている。これは既感染パターン
だ。そういう人にウィルスが再度曝露している。初感染の時はIgMが上がり、
その後IgGが上がってくる。そして、ウィルス感染がそのIgGで抑え込まれて治
ると、IgGは下がっていく。治ると次の感染に備えるメモリー(記憶)B細胞が
生成されてIgG抗体は下がっていく。だから入院患者以外の人の検体ではIgGの
抗体も下がり、値が低い。検体の数を多くしても、IgGが上がるものばかりだ
ろうと想像される。だとすれば、日本人の殆どはもう免疫を持っているという
ことになる。無症候のウィルスとはそういうものだ。
【小川】一方、症状の劇症化などが当初たくさん伝えられ、若い人も亡くな
る。これが多くの国民を恐怖に陥れた。
【上久保】それは実態を病理学的に検証する必要がある。28歳の力士が亡く
なったが、あれはコロナではないかもしれない。力士はぶつかり稽古をして接
触の機会が多いからうつっていないはずはない。だからPCR検査をすれば陽性
反応は出る。しかし基礎疾患があったとの報道があったと思うが、コロナやイ
ンフルエンザなどに感染しているときに、不整脈や心筋梗塞などで心臓が止ま
って突然死することはある。
【小川】女優の岡江久美子さんはどうか。
【上久保】抗がん剤や放射線の治療をしていた場合、六十代でも免疫が落ち
て、肺炎を起こす場合がある。志村けんさんも肺気腫だった。肺炎を起こして
亡くなることは時々ある。


【感想】
・新型コロナウィルスに対しては「感染防止」よりも「免疫」が《決め手》で
あることが強調されている。日本の被害が欧米、南米に比べて少ないのも、
《知らないうちに》ほとんどの日本人が免疫を獲得していたからだ。それは村
上康文東京理科大教授の抗体定量検査によって《実証》されている。
・しかし、為政者、専門家、メディアは未だに「感染防止」の一点張りで、
《感染者(PCR陽性者)の増減》に一喜一憂している。それは、新型コロナウ
ィルス感染症をペスト並の「2級指定感染症」に位置づけているため、《隔
離》によって感染を抑え込もうとしているためだ。8割が無症候または軽症で
終わる感染症を、なぜそこまで恐れるのか。基礎疾患があった有名人の死を、
「突然死」が頻発しているように報道するメディアの魂胆は、要するに《情報
が売れればよい》ということだろうが、まさに「幽霊の正体見たり枯れ尾花」
という一句がピッタリの様相を呈している。こんなことがいつまでつづくのだ
ろうか。
(2021.2.4)