梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

《コロナ禍》は「人災」か

 2月末頃から始まった《コロナ禍》の実態は、疫病のまん延よりは、感染拡大を抑えるために講じた為政者の施策による「不便」「不都合」「経済的損失」といった、社会生活のダメージの方が大きかった、と私は思う。病疫による自然災害というよりは、(冷静に考えれば防げた)《人災》ではないだろうか。
 まず、為政者、メディアは「感染者」という概念にこだわり、未だにその人数の増減に注目しているようだが、なぜだろうか。「新型コロナウィルス感染症」という疾病が、ただ「未知の部分が多い」というだけで、かつての「肺結核」、「ハンセン病」のように不治とみなされたり、「天然痘」「日本脳炎」「赤痢」等の伝染病と同等・同質と考えられたりしていたことはなかったか。ことさらに、メディアで、その病態・患者の苦痛が誇張されることはなかったか。
 たしかに、感染は世界各国に拡がり、4月1日から15日にかけては、死者が英国で6.7倍、米国で6.3倍、フランスで4.4倍、ドイツで4.1倍、日本でも2.4倍という勢いで増加した。しかし、イタリアでは1.6倍でピークは過ぎており、4月16日から30日にかけては、どの国も2倍弱になり、5月以降はロシア、ブラジルの2倍台を除けば、1倍台になった。
 5月31日現在、世界全体では「感染者」607万9614人、「死者」36万9614人という数値が示されている。(「東京新聞」2面)この数値が、どの程度、深刻なものであるか、普段、数えたことのない私たちには判断できない。ただ、日本での1月から4月までの死者数は総計45万人ほどだから、世界全体でも《それよりは少ない》ということがわかる。だから、世界全体がパニックになるほどの死者数ではない。  
 さらに、日本国内での、季節性インフルエンザの関連死者数は、4月25日現在3300人、コロナ死は317人という数値もある。メディアは、インフルエンザの死者数には触れずに、なぜコロナによる死者数だけを報じるのだろうか。その方が視聴率を稼げるからだ、と勘ぐられても仕方あるまい。
 ことほどさように、今回の《コロナ禍》は、何から何まで「霧の中」、3か月過ぎても何一つ明らかにならない、という特徴があるのだ。その背景には《人災》を隠蔽する、関係者の策略があるのかもしれない。
(2020.6.1)