梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

遂に暴かれた、安倍首相の《嘘》

 安倍首相は2月17日の衆院予算委員会で「私も妻も一切、認可にも、国有地の払い下げにも関係ない。関係していたということになれば、私は間違いなく、総理大臣も国会議員も辞める」と明言した。しかし、《一切、認可にも、国有地の払い下げにも関係ない》という文言は、一通のファックスによって覆された。
 ファックスの宛名は「塚本幼稚園 幼児教育学園 総裁・園長 籠池泰典様」、差出人は「内閣総理大臣夫人付 谷査恵子」と明記されている。その内容は、「小学校敷地に関する国有地の売買予約付定期借地契約に関して」、「財務省本省に問い合わせ、国有財産審理室長から」「国側の事情もあり、現状ではご希望に沿うことはできない」という「回答を得た」というものであり、「なお、本件は昭恵夫人にもすでに報告させていただいております」とも記されていた。そのことから、籠池氏が、①国有地の定借を10年(通常は3年を目安)と設定していただいたが、社会福祉法人への優遇措置のように50年まで延長してもらえないか、②土壌汚染や埋蔵物の撤去期間の賃料は軽減してもらえないか、③工事費の立て替え払いをしてもらえないか、といった要望を昭恵夫人に依頼したことが明らかになったのである。昭恵夫人は「お付き」の谷査恵子氏を通じて、その要望を財務省に伝えたことも明らかである。結果は「ゼロ回答」だったが、安倍首相の妻が「国有地の払い下げに関係」したことは間違いなく「事実」である。
 したがって、《一切、認可にも、国有地の払い下げにも関係ない》という安倍首相の発言は《嘘》であり、直ちに、総理大臣も国会議員も辞めなければならないのである。菅官房長官は、「結果が“ゼロ回答”だったので問題はない」と述べたが、それは「未遂に終わったから犯罪は成立しない」という類の、典型的な詭弁である。《一切、関係ない》ということは、安倍首相も妻も、その関係者も籠池氏を「知らない」「話したこともない」「相談も連絡も報告も受けたことがない」、つまり籠池氏は「全く、無関係な人である」という時に、初めて言えることなのだ。安倍首相の《嘘》は、曖昧模糊とした(人間の)「証言」ではなく、ファックスという「物証」によって暴かれた。安倍首相の発言が「真実」であるというのなら、そのファックス(物証)が《偽物》(嘘)であることを証明しなければならない。はたして、それが可能か否か、今後の経過を興味深く見守りたい、と私は思う。(2017.3.24)

自民党・二階幹事長の《資質》

 自民党の二階俊博幹事長は、復興相を辞任した今村雅弘氏の発言を巡る報道機関の姿勢について「マスコミは余すところなく記録を取り、一行でも悪いところがあれば首を取れと。なんということか」「人の頭をたたいて血を出したという話ではない。いちいち張り切らなくてもいい。そんな人は、はじめから排除して(会場に)入れないようにしないといけない」などと述べたうえで、一方「マスコミに罪をなすりつけるような、ひきょうなまねはしてはいけない。間違ったことを言う人の資質の問題だ」「閣僚が代わってご迷惑をおかけしている。こういう時こそ、しっかり気を引き締めないといけない」とも強調したそうである。(「東京新聞」4月27日付け朝刊・1面)
 二階氏は以上の前段でマスコミの姿勢を批判し、後段で「マスコミに罪をなすりつけるような、ひきょうなまねをしてはいけない」などと述べているが、自分が、同時に「正反対」のことを述べていることに気づいていない。《マスコミに罪をなすりつけた》のは、他ならぬ二階氏自身ではないのか。もはや政治家特有の「二枚舌」を通り越して「耄碌の極致」としか言いようがない。おそらく、感情にまかせて威勢良くマスコミを批判したものの、途中で「これはまずい」と思ったのだろう、「間違ったことを言う資質の問題だ」などと、心にもない建前論で、マスコミからの批判をかわそうとしている。しかし、それは「寝言」に等しい。「間違ったことを言う資質の問題」を抱えているのは、今村氏のみならず、二階氏自身に他ならないからである。「なんということか」とマスコミを批判しておきながら、「罪をなすりつけるような、ひきょうなまねをしてはいけない」と正反対の言辞を弄することは、誰にでも分かる「間違い」(自己矛盾)であり、そのことに気づいていない、もしくは、気づいてはいるが、その「間違い」を押し通す(誤魔化す)ことが、二階氏の(政治的)《資質》なのである。
(2017.4.27)

内閣府世論調査の《嘘》

 東京新聞4月4日付け朝刊・22面 「こちら特報部」の記事によれば、内閣府が1日発表した「社会意識に関する世論調査」で「現在の社会に満足している」と答えた人が過去最高の66%に達したという。調査の対象は18歳以上の1万人で有効回収率は59.9%であった。この結果から、国民の66%が「現在の社会に満足している」と勘違いしてはならない。内閣府の調査対象は1万人、回答者はおよそ6千人、そのうちの66%、およそ4千人が「満足」しているに過ぎない。つまり、1万人のうち「満足」は、(多く見積もっても)40%だったということが示されているのである。
 また、同記事には「社会への満足度」の推移という折れ線グラフも載っている。それを見ると(民主党政権時の)2012年には40%台であったが、(第二次安倍政権発足時の)2013年には50%を超え、以後上昇を続け2017年には65.9%という数字が示されている。政府は、第二次安倍政権以降、国民の満足度が「うなぎ登り」に上昇していることを強調したいのだろうが、あまりにも見え透いた「世論調査」(世論操作)である。内閣府は1月~2月、戸別訪問方式で調査を実施したのだから、当然「人為的な操作」も可能である。今、はやりの「忖度」も垣間見られる。
 一方、「検索サイト『ヤフージャパン』が内閣府の調査発表を受けて、ネット上で同じ質問をぶつけたところ、3日午後6時半時点で約2万8千人から回答が寄せられ、「満足」は27.4%、「満足していない」は72.6%という結果」(同記事)だったそうである。
 どちらの結果を信じるかは「個人の自由」だが、いずれにせよ「現在の社会に満足している」国民は40%に過ぎないことは確かである。「66%」という虚妄な数字に騙されてはいけない。(2017.4.4)