梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

自民党・二階幹事長の《資質》

 自民党の二階俊博幹事長は、復興相を辞任した今村雅弘氏の発言を巡る報道機関の姿勢について「マスコミは余すところなく記録を取り、一行でも悪いところがあれば首を取れと。なんということか」「人の頭をたたいて血を出したという話ではない。いちいち張り切らなくてもいい。そんな人は、はじめから排除して(会場に)入れないようにしないといけない」などと述べたうえで、一方「マスコミに罪をなすりつけるような、ひきょうなまねはしてはいけない。間違ったことを言う人の資質の問題だ」「閣僚が代わってご迷惑をおかけしている。こういう時こそ、しっかり気を引き締めないといけない」とも強調したそうである。(「東京新聞」4月27日付け朝刊・1面)
 二階氏は以上の前段でマスコミの姿勢を批判し、後段で「マスコミに罪をなすりつけるような、ひきょうなまねをしてはいけない」などと述べているが、自分が、同時に「正反対」のことを述べていることに気づいていない。《マスコミに罪をなすりつけた》のは、他ならぬ二階氏自身ではないのか。もはや政治家特有の「二枚舌」を通り越して「耄碌の極致」としか言いようがない。おそらく、感情にまかせて威勢良くマスコミを批判したものの、途中で「これはまずい」と思ったのだろう、「間違ったことを言う資質の問題だ」などと、心にもない建前論で、マスコミからの批判をかわそうとしている。しかし、それは「寝言」に等しい。「間違ったことを言う資質の問題」を抱えているのは、今村氏のみならず、二階氏自身に他ならないからである。「なんということか」とマスコミを批判しておきながら、「罪をなすりつけるような、ひきょうなまねをしてはいけない」と正反対の言辞を弄することは、誰にでも分かる「間違い」(自己矛盾)であり、そのことに気づいていない、もしくは、気づいてはいるが、その「間違い」を押し通す(誤魔化す)ことが、二階氏の(政治的)《資質》なのである。
(2017.4.27)