梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・序

《序》
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)を再読する。この本は今から22年前に刊行され、私はほぼ20年前に一読した。「自閉症」の《謎》とされている部分に対して、第三者(学者)として、大変わかりやすく解説されており、多くの示唆を与えられた。あらためて再読しようと思い立ったのには以下の理由がある。①当時は、教員として第三者(児童・生徒)の治療教育に携わりながら、参考書として精読したが、今は立場が変わった。まもなく5歳になる孫(自閉症と診断された男児)の祖父として、いわば「身内」の立場から「自閉症」の《謎》について考えてみたい。②私はここ数年の間に「自閉症・治癒への道」(ティンバーゲン・新書館・1987年)、「自閉症治療の到達点」(太田昌孝、永井洋子・日本文化科学社・1992年)、「広汎性発達障害児への応用行動分析(フリーオペラント法)」(佐久間徹・二瓶社・2013年)、「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)を読了した。それらの内容と「比較対照」しながら再読すれば、自分にとって新しい何かを見つけることができるのではないか。
 20年前は、(私自身が)いわば白紙の状態で一読したが、今回は「祖父」という立場で、またある程度の「知識」を踏まえて、《批判的》に精読したいと思う。
(2015.10.10)