梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

旅に病んで夢は枯野をかけめぐる・2

 夜中に目を覚まし、再び眠ろうとしてモーツアルトのCD(「くつろぎとリラクゼーション」)をかけた。夢か現か幻か・・・、私は小学校のクラス会に、いそいそとと出向く。会場には先着が数名いた。その中の一人、「彼女」が私に近づいてプレゼントを手渡す。私は「(今、ここでは)まずいよ」と思いながらも、そのプレゼントを受け取った。誰かが見ていないか、気がかりだったがプレゼント自体はありがたかった。徐々にその場の人数が増えてきた。背の高い「彼」も到着した。「彼」は杖をつき、足取りもおぼつかないようで、突然「彼女」に倒れかかった。「彼女」は悲鳴をあげ「彼」の下敷きになってしまった。一同は驚いて「彼女」を助け出したが、足首を負傷したらしい。でも健気に「だいじょうぶよ」と言いながら、痛めた部位をさすっている。
 やがて全員が集合した。あれ?、そこには中学・高校・大学時代の友達も混じっているのだ。往時の喧嘩相手も、親しげに声をかけて来る。すでに鬼籍に入っている親友までもが顔を見せているではないか。そうか、これは小学校ではなく「私のクラス会」だったのか・・・。全員がパレードのように(あるいはフォークダンスのように)、ぐるぐると行進しながら、一人ずつ朝礼台の上に昇ってパフォーマンス(自己紹介・近況報告)を演じている。「次は私の番だ!」という時に目が覚めた。
 ところで、「彼女」が私にくれたプレゼントとは何だったのか。それは秘密である。
(2018.4.21)