梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

続・「トカゲのしっぽ切り」

 「森友問題」とは、国有地が「ただ同然」で、民族主義(教育勅語)を理念とする私立小学校に払い下げられたことである。売り渡した行政責任者はA首相であり、甘い汁を吸ったのは森友学園元理事長K氏である。その問題は地域の一市議による(売却価格の)「開示請求」によって明るみに出され、世間に知れわたった。その後、K氏は妻とともに「詐欺罪」の容疑で逮捕され、現在拘置中の身である。この間、一貫してA首相は「森友問題に関与していない」と述べている。一方、K氏はA首相夫人を私立小学校の名誉校長に招き、(A首相筋から)「百万円の寄付を頂いた」などと主張している。両者の言い分は真っ向から対立しているが、どちらが真実を語っているか。自民党のN幹事長は「首相と一民間人、おのずと明らかだろう」と言った。しかし、それは巧妙な「ごまかし」である。
 「森友問題」の本質とは何か。国民の財産が「秘密裏のうち」に首相の身内に売り渡されようとしたことである。もし、この問題が明るみに出なければ、A首相とK氏の思惑通りに事が運んだはずである。A首相とK氏は「同志」(「日本会議」)であり、これからも「美しい日本を守る」ために(反日勢力と)闘いぬく決意であったのに・・・。
 これまでの経緯を見れば、A首相よりK氏の「実力」が勝っていたことは一目瞭然である。K氏(夫妻)は国有地を「ただ同然で」手に入れるために、(A首相の部下である)財務官僚たちに、A首相夫人の関与をちらつかせ、「恫喝」(損害賠償請求)という強硬手段も辞さなかった。その勢いに押し切られたのが「森友問題」の構図である。
 このたびは、「政治家」(A首相)が《黒幕》(K氏)の操り人形であることが、図らずも露呈されたが、A首相もK氏も所詮は「トカゲのしっぽ」、私たちは、決して姿をあらわさないトカゲの本体を見落としてはならない。(2018.4.1)