梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

NHKラジオ「すっぴん」の《言葉遣い》

 平日の午前中(8:00~12:00)、NHKラジオ「すっぴん!」に登場する面々の「言葉遣い」は、聞くに耐えない。この時間帯、以前は「ラジオビタミン」という番組であった。その時の「言葉遣い」も聞くに耐えなかったが、私の不快感は「堪忍袋の緒が切れる」までに高まった。「それなら聞かなきゃいいじゃないか」と言われそうだが、おっしゃる通り、私は聞いていない。したがって、これから綴ることは、私の想像を加えた作り話である。放送事前の打ち合わせ、「番組のタイトルが、《すっぴん》だから、堅苦しくなく、ざっくばらんで行きましょう。リスナーが気軽に親しめるよう、日常語でお願いします。適当に笑いも入れて・・・」。放送中「ああ、そうなんだ」「ウン、ウン」「っていうか、サー・・・」「まあ、そうだよね」。ずっと、この調子ならまだ許せるが、時として「NHKらしく」格式張った丁寧語も混入する、といった案配で、そのコントラスト(落差)が聞き苦しいのである。番組担当者の意図は、①NHKとしての「品位」を保ち、②しかし、親しみやすく、③リスナー参加型の、というあたりにあるかどうかは、知る由もないのだが、いずれにせよ「受信料」を徴収して作るほどの番組ではない。こんな程度の番組なら「民放」で十分なのだ。気の毒なのは、「すっぴん!」に引っ張り出されるゲスト(?)の面々、どこまで「ざっくばらん」でよいものやら、公共の電波を使っているのに、「身内の会話」でいいの?といった「とまどい」は隠せない。しかし、相手(NHKアナウンサー)のペースに乗せられて、羽目を外す。かくて、放送事後の述懐。「おれ、そんなこと言ったっけ」「あーあ、言わなきゃよかった」、雀の涙ほどの出演料・全国的な知名度と引き替えに、失った(自分の)「品格」は取り返せないのである。御愁傷様。
(2012.11.5)