梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「旧約聖書」通読・《出エジプト記》・第4章

■第4章
・モーセは言った。「しかし、彼らはわたしを信ぜず、またわたしの声に聞き従わないで言うでしょう。『主はあなたに現れなかった』と」。主は彼に言われた。「あなたの手にあるそれは何か」。彼は言った。「つえです」。また言われた。「それを地に投げなさい」。彼がそれを地に投げると、へびになったので、モーセはその前から身を避けた。主はモーセに言われた。「あなたの手を伸ばして、その尾を取りなさい。・・そこで手を伸ばしてそれを取ると、手の中でつえとなった。・・これは、彼らの先祖たちの神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である主が、あなたに現れたのを、彼らに信じさせるためである」。主はまた彼に言われた。「あなたの手をふところに入れなさい」。彼が手をふところに入れ、それを出すと、手は、らい病にかかって、雪のように白くなっていた。主は言われた。「手をふところにもどしなさい」。彼は手をふところにもどし、それをふところから出してみると、回復して、もとの肉のようになっていた。主は言われた。「彼らがもしあなたを信ぜず、また初めのしるしを認めないならば、後のしるしは信じるであろう。彼らがもし二つのしるしをも信ぜず、あなたの声に聞き従わないならば、あなたはナイル川の水を取って、かわいた地に注ぎなさい。あなたがナイル川から取った水は、かわいた地で血となるであろう」。
・モーセは言った。「ああ主よ、わたしは言葉の人ではありません。口も重く、舌も重いのです」。主は彼に言われた。「だれが人に口を授けたのか。おし、耳しい、目あき、目しいに、だれがするのか。主なるわたしではないか。それゆえ行きなさい。わたしはあなたの口と共にあって、あなたの言うべきことを教えるであろう」。モーセは言った。「ああ、主よ、どうか、ほかの適当な人をおつかわしください」。そこで、主はモーセにむかって怒りを発して言われた。「あなたの兄弟レピびとアロンがいるではないか。わたしは彼が言葉にすぐれているのを知っている。見よ、彼はあなたに会おうとして出てきている。彼はあなたを見て喜ぶであろう。あなたは彼に語って言葉をその口に授けなさい。わたしはあなたの口と共にあり、彼の口と共にあって、あなたがたのなすべきことを教え、彼はあなたに代わって民に語るであろう。あなたはそのつえを手に執り、それをもってしるしを行いなさい」。
・モーセは妻の父エテロのところに帰って彼に言った。「どうかわたしを、エジプトにいる身うちの者のところに帰らせ、彼らがまだ生きながらえているか、どうかを見させてください」。エテロはモーセに言った。「安んじて行きなさい」。主はミデヤンでモーセに言われた。「エジプトに帰って行きなさい。あなたの命を求めた人はみな死んだ」。そこでモーセは妻と子供たちをとり、ろばに乗せて、エジプトの地に帰った。モーセは手に神のつえを執った。
・主はモーセに言われた。「あなたがエジプトに帰ったとき、わたしがあなたの手に授けた不思議を、みなパロの前で行いなさい。しかし、わたしが彼の心をかたくなにするので、彼は民を去らせないであろう。あなたはパロに言いなさい。『主はこう仰せられる。イスラエルはわたしの子、わたしの長子である。わたしはあなたに言う。わたしの子を去らせて、わたしに仕えさせなさい。もし彼を去らせるのを拒むならば、わたしはあなたの子、あなたの長子を殺すであろう』と」。
・さてモーセが途中で宿っている時、主は彼に会って彼を殺そうとされた。その時、チッポラは火打石の小刀を取って、その男の子の前の皮を切り、それをモーセの足につけて言った。「あなたはまことに、わたしにとって血の花婿です」。そこで、主はモーセをゆるされた。この時「血の花婿です」とチッポラが言ったのは割礼のゆえである。
・主はアロンに言われた。「荒野に行ってモーセに会いなさい」。彼は行って神の山でモーセに会い、これに口づけした。モーセは自分をつかわされた主のすべての言葉と、命じられたすべてのしるしをアロンに告げた。
・そこでモーセとアロンは行ってイスラエルの人々の長老たちをみな集めた。そしてアロンは主がモーセに語られた言葉を、ことごとく告げた。また彼は民の前でしるしを行ったので、民は信じた。彼らは主がイスラエルの人々を顧み、その苦しみを見られたのを聞き、伏して礼拝した。
(2022.12.27)