梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

横綱の「汚名返上」

 私の予想に反して、横綱・日馬富士の「不始末」はそのまま見過ごされなかったようである。大相撲九州場所の最中から世間は「大騒ぎ」となり、千秋楽を終えた。まだ国技大相撲の将来はあるという状況になったが、その方向性を示す立場にあるのが、日本相撲協会理事長の諮問機関である「横綱審議委員会」という組織であろう。しかし、この組織の面々は甚だ心もとない。司法機関でもない理事会が、場所中に「貴ノ岩から事情聴取したい」などという越権行為を容認し、それを断った貴乃花親方に対しては批判的であったばかりか、場所後の定例会でも、今後の方向性を示す答申は見当たらない。
 そこで、私の独断・偏見を述べれば、要するに現在の横綱(白鵬、日馬富士、鶴竜、稀勢の里)全員の引退を勧告するべきである。理由は単純、モンゴル出身の三力士は「不始末」の現場に居たこと、とりわけ日馬富士は中心人物であり、白鵬、鶴竜は日馬富士の「不始末」を防げなかったこと、加えて場所中の白鵬は横綱としての品格に欠ける言動が多発したことである。さらにただ一人の日本人横綱・稀勢の里は横綱昇進後、奇跡の逆転優勝を果たしたが、以後、負傷回復の兆しが見えず休場を余儀なくされていることである。
 白鵬は「前人未踏」、40回目の優勝インタビューで「膿を出し切る」と答えたそうだが、まさにその通り、自身を含めた現在の横綱の有様が「膿」に他ならないということに気づかなければならない。はたして、最初に引退を申し出る横綱は誰か。その人物こそ「汚名返上」という品格を備えた、本来の横綱に値する力士だということになる。
(2017.11.28)