梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

新型コロナウィルス感染・《国内の動向・油断は大敵・2》

 日本の「新型コロナウィルス感染者数・死者数」は今、世界の国々の中で「桁違い」に少ない。米国の感染者は86.9万人、スペイン21.9万人、イタリア、ドイツ、英国、フランス、トルコなどが軒並み10万人を超えている中で、日本はわずかに1万3491人だ。死者も米国が4.9万人、スペイン、イタリア、フランスは2万人台、最少のトルコですら2491人なのに、日本は352人である。では、はたして「日本の医療体制が充実しているからだ」と胸を張ることができるか。感染者数の前日比はロシア1.09倍に次いで日本は1.036倍であり、英国の1.034倍、米国、トルコの1.031倍を上回っている。死者数の前日比もロシアの1.08倍に次いで日本は1.069倍であり、米国の1.068倍を上回っている。したがって、欧米諸国が感染のピークを過ぎたのに比べて日本は、これから拡大のスピードを増していく恐れが「ない」とはいえない。
 そんな中で、国内の動向を見ると、4月21日から24日までの3日間で、感染者数が全く増えていない都道府県が12ある。( )の数字は感染者数。筆頭が岩手(0)、続て鳥取(3)、鹿児島(10)、秋田(15)、島根(16)、宮崎(17)、青森(22)、香川(28)、山口(31)、愛媛(47)、大分(60)、宮城(84)だ。これ以上の感染拡大を抑えるためには「3日間新規感染者ゼロ」を目指すことが第一であり、今、感染者が少なくても、油断は大敵で、気を緩めると一気に拡がるおそれがある。
そうした事例の筆頭が長崎で、クルーズ船が寄港しただけで感染者は6.35倍にふくれあがった。それは地域の人の苦渋の(人道的な)選択の結果だから、決して責めることはできない。ほぼ2か月前の「ダイアモンド・プリンセス」事例を教訓として、適切な対応を期待したい。そのほかにも、この3日間で増加率の高い地域は佐賀(1.88倍)、滋賀(1.29倍)、徳島(1.25倍)、長野(1.20倍)などであろうか。それぞれの地域には、様々な事情があり、様々な要因があるだろう。いずれにせよ《すでに国民の10人に1人は感染している》と覚悟して、日々の生活を送ることが、今一番、重要
なのだと、私は思う。日本全国を見渡して、感染拡大に懸命な努力をしている地域の人々がいるからこそ、日本の感染者数、死者数は世界の中でも、まだ「最少」を維持していられるのだから・・・。ゆめゆめ油断めさるな。
(2020.4.25)