梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「旧約聖書」通読・《創世記》・第39章

■第39章
・さてヨセフは連れられてエジプトに下ったが、パロの役人で侍衛であったエジプトびとポテパルは、彼をそこへ連れ下ったイシマエルびとらの手から買い取った。主がヨセフと共におられたので、彼は幸運な者
となり、その主人エジプトびとの家におった。その主人は主が彼と共におられることと、主が彼の手のすることをすべて栄えさせられるのを見た。そこで、ヨセフは彼の前に恵みを得、そのそば近く仕えた。彼はヨセフに家をつかさどらせ、持ち物をみな彼にゆだねた。その時から、主はヨセフのゆえにそのエジプトびとの家を恵まれたので、主の恵みは彼の家と畑とにあるすべての持ち物に及んだ。そこで彼は持ち物をみなヨセフの手にゆだねて、自分が食べる物のほかは、何も顧みなかった。
・さてヨセフは姿がよく、顔が美しかった。主人の妻はヨセフに目をつけて言った。「わたしと寝なさい」。ヨセフは拒んで、主人の妻に言った。「御主人はわたしがいるので家の中の何をも顧みず、その持ち物をみなわたしの手にゆだねられました。この家にはわたしよりも大いなる者はありません。また御主人はあなたを除いては、何をもわたしに禁じられませんでした。あなたが御主人の妻であるからです。どうしてわたしはこの大きな悪をおこなって、神に罪をおかすことができましょう」。彼女は毎日ヨセフに言い寄ったけれども、ヨセフは聞きいれず、彼女と寝なかった。また共にもいなかった。ある日ヨセフが家にはいった時、家の者がひとりもいなかったので、彼女はヨセフの着物を捕らえて、「わたしと寝なさい」と言った。ヨセフは着物を彼女の手に残して外にのがれ出た。彼女はそれを見て、その家の者ども呼び、彼らに告げて言った。「主人が連れてきたヘブライびとは、わたしたちに戯れます。彼はわたしと寝ようとして、わたしの所にはいったので、わたしは大声で叫びました。かれはその声を聞くと、着物を残して外にのがれ出ました」。彼女はその着物をかたわらに置いて、主人の帰ってくるのを待った。そして彼女は次のように主人に告げた。「あなたが連れてこられたヘブルのしもべはわたしに戯れようとして、わたしの所にはいってきました。わたしが声をあげて叫んだので、かれは着物を残して外にのがれ出ました」。
・主人はその言葉を聞いて、激しく怒った。そしてヨセフの主人は彼を捕らえて、王の囚人をつなぐ獄屋に投げ入れた。こうしてヨセフは獄屋の中におったが、主は彼と共におられて彼にいつくしみを垂れ、獄屋番の恵みをうけさせられた。獄屋番はすべての囚人をヨセフの手にゆだねたので、彼はそこでするすべての事をおこなった。獄屋番は彼の手にゆだねた事はいっさい顧みなかった。主がヨセフと共におられたからである。主は彼のなす事を栄えさせられた。
(2021.10.11)