梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

新型コロナウィルス感染・《世界の動向》

 ほぼ10日前(2月23日)に比べて、世界の新型コロナウィルス感染者数および死者数はどのように推移したか。 
 3月2日現在、感染者数および死者数の最も多いのは中国で、感染者数80026人、死者数2912人だ。これを10日前と比べると感染者数は76936人で1.04倍の増加、死者数は2442人で1.19倍の増加である。
 2番目に多いのは韓国で感染者数4335人、死者数26人、感染者数は7.20倍の増加、死者数は4.3倍の増加である。
以下、感染者数の多い順に列挙すると、
3番目 イタリア 感染者数1694人(12.8倍) 死者数34人(17.0倍) 4番目 イラン 感染者数1501人(34.9倍) 死者数66人(8.25倍)
5番目 日本 感染者数972人(1.15倍) 死者数12人(3.0倍)
6番目 シンガポール 感染者数106人(1.19倍) 死者数0人(0倍)
7番目 香港 感染者数98人(1.32倍) 死者数2人(1倍) 
8番目 米国 感染者数88人(2.51倍) 死者数2人(2.0倍)
 これを見ると、感染者数の増加率は、中国、日本、シンガポール、香港において2倍未満に抑えられており、横ばい状態を維持している。最も低いのが日本の1.15倍だ。最も高いのはイランの34.9倍、以下、イタリアの12.8倍、韓国7.20倍、米国2.51倍という順である。
 死者数の増加率は、高い順にイタリア(17.0倍)、イラン(8.25倍)、韓国(4.3倍)、日本(3.0倍)、米国(2.0倍)、中国(1.19倍)、香港(1.0倍)であり、シンガポールでは1人の死者も出ていない 
 以上を踏まえて「机上の空論」を述べれば、①日本の感染拡大率は世界各国に比べて高くない(最低だ)。②日本の死者数は韓国、イタリア、イランに比べて少なく、増加率もイタリア、イラン、韓国よりも低い3倍程度に抑えられている。《だから》これまでの政府の「取り組み」は《失策ではない》といえる。
 これは、数字(数値)だけを拠り所にした「典型的な」詭弁である。死者が3倍に増えたことは「やむを得なかった」のではなく、痛恨の極み(明らかな失策)であり、感染拡大率も1.0倍未満にしなければ、「国民の生命・安全」を守ったことにならないからである。「少数を犠牲にして多数を救う」という理屈は《職業軍人》の常套手段だが、それと大同小異の《政治家》が何と多いことか。今後、政治家の中に、上のような詭弁を弄する不届き者が現れぬよう、注意深く見守る必要がある。
(2020.3.3)