梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

続・参院選の《愚》

 「2019参院選」は終わった。現時点で推定投票率は49.19%。もし確定投票率が50%を超えなければ、今回の選挙結果は「無効」である。それが「多数決の原理」というものだ。しかし、そんなことを言うものは誰もいないだろう。なぜなら、そんな決まり(法律)はないからである。これまでも投票率が50%に満たない選挙はいくらでもあった。そのたびに「無効」にしていたのでは、いつまでたっても「何も決まらない」と考えるからであろう。実をいえば、この「何も決まらない」という状態こそが、民主主義の《真髄》であることを、知っている人は少ない。民主主義の大前提は「主権在民」(国民主権)である。主権者が国民ならば、「決める」のは国民だ。国会議員(代議士も)は、国民の代弁者であって代表者ではない。だから、意見を述べる(議論する)だけでよい。数を競って「決める」必要はないのである。(事実、今でも、憲法改正の是非を決めるのは「国民投票」ということになっているではないか)
 まして参議院議員に求められる「資質」は、《年長者》としての見識と人格を兼ね備えた、文字通り《良識の人》でなければならない。言い換えれば、党議に拘束される政党所属者ではなく、つねに個人として卓見を述べる《自由人》であることが不可欠である。まだ確定されてはいないが、今回の当選確実者で、その条件を満たす人物は《わずかに1人》しかいない。参議院は「衆議院のコピー」に成り果て、無用の長物となったのである。
(2019.7.22)