梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

《コロナ禍》の現況(2)

 厚生労働省のホームページ、新型コロナ「国内発生状況」によれば、①PCR検査実施人数は、7月31日:18382964人、8月14日:19708418人で、この半月で1.07倍の増加だった。同様に計算すると、②陽性者数は(1108269人÷913755人で)1.21倍の増加、③要入院・治療者数は(145871人÷61686人で)2.36倍の増加、④重症者数は(1521人÷667人で)2.28倍の増加、④退院者数は(943260人÷834967人で)1.12倍の増加、⑤死亡者数は、(15383人÷15184人で)1.01倍の増加だったことがわかる。①②④⑤は累計、③④は現在数なので、単純に比較はできないが、この半月で、入院治療を必要とする患者(発症者)と重症者が2倍以上に増えたことはたしかだ。
 為政者、専門家、マスコミ関係者は、未だに不確定な、②の陽性者数(「感染者」)をメルクマールとしているようだが、③の要入院・治療者数や、④の重症者数の「変動」に注目すべきだと、私は思う。「第5波」は感染者数が拡大しているから深刻なのではなく、患者数および重症者数が倍増しているから深刻なのだ。ただし、死亡者数の増加は1.01倍に抑えられていることも特徴だ。
 大切なことは、「感染しない」ことではなく、A:感染しても「発症しない」こと、B:発症しても「重症化しない」こと、C:重症化しても「死なない」ようにすることである。A、Bのためにはワクチン接種者数の拡大、Cのためには医療現場の充実が不可欠であろう。
 現在5700万人余りがワクチン接種を行ったが、まだ発症、重症化を抑えられないのは何故か。発症者、重症者とワクチン接種の相関関係を明らかにする必要がある。また、医療現場の充実のためには、この感染症を2類から5類に変更し、どこの病院でも治療を受けられるような体制を整えることが先決ではないだろうか。 
(2021.8.15)