梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

天皇誕生日

梨野礫

 今日は令和の天皇誕生日である。明治は11月3日、大正は8月31日、昭和は4月29日、平成は12月23日であったが、祝日として残されているのは「文化の日」(11月3日)と「昭和の日」(4月29日)だけである。昭和の日は、当初「みどりの日」であった。昭和天皇が植物学に深く自然を大切にしたことから、崩御後、昭和天皇の誕生日を「みどりの日」としたが、2007年、祝日法の改正により、「みどりの日」は5月4日に移動、4月29日は「昭和の日」とされた。

 ところで、「昭和の日」はあるのに「明治の日」「大正の日」「平成の日」がないのはなぜだろうか。それは、昭和という時代が他と比べて64年間と長く、「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす日」と意味づけられているからであろう。

 今上天皇は誕生日に先立つ記者会見で、「過去の歴史から謙虚に学び、深い反省とともに、平和を守るために必要なことを考え、努力することが大切だ」という思いを述べた。過去の歴史とは、いうまでもなく、現人神として君臨させられた昭和天皇が関わった「先の大戦」のことであり、その反省は、人間宣言後の昭和天皇から上皇、上皇から天皇、天皇から愛子内親王へと着実に引き継がれている。「悲惨な体験や苦労を後の世代に伝えて行くことが大切だと考えている。愛子にも戦争の記憶と平和の尊さを次の世代へ引き継ぐ役割を担ってほしい」という言葉が、その証だ。そして今もなお、硫黄島、広島県、モンゴル、沖縄・長崎県東京都慰霊堂などを訪れ、戦没者への慰霊が続けられている。

 はたして「天皇のしらす君民一体の国家」を目指す参政党員、「国体を守り、国防力の保持・強化を達成するための憲法改正」を目論む日本保守党員、そして「日本列島を強く豊かに」を標榜する自民党員の面々は、この天皇の言葉をも「自虐史観」と蔑むのであろうか。

(2026.2.23)