梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

新型コロナワクチン、保健所の説明

 保健所から「新型コロナウィルスワクチン予防接種のお知らせ」という封書が届いた。中には、①新型コロナワクチン接種のお知らせ、②新型コロナワクチン予防接種についての説明書、③新型コロナワクチン接種の予診票、④接種票、⑤予防接種済証等の文書が入っている。②の「説明書」を読むと、以下の記述が気になった。
「本ワクチンの接種で十分な免疫ができるのは、2回目の接種を受けてから7日程度経って以降とされています。現時点では感染予防効果は明らかになっていません。適切な感染防止策を行う必要があります。」
 感染予防効果が明らかになっていない?・・・。だから、適切な感染予防策を行う必要がある?・・・。ワクチンを接種することは《適切な》感染予防策ではないのか?
では、何のためにワクチンを接種するのか。要するに、ここからわかることは、ワクチンの接種は《絶対ではない》ということであろう。
 また、③の予診票には、「(②の)説明書を読んで、効果や副反応などについて理解しましたか」という質問事項がある。「副反応について」には、「本ワクチンは、新しい種類のワクチンのため、これまで明らかになっていない症状が出る可能性があります。接種後に気になる症状を認めた場合は、接種医あるいはかかりつけ医に相談しましょう」と記されており、その後には《御丁寧にも》「予防接種健康被害救済制度について」 の解説が添えられている。要するに「予防接種法」に基づいて、医療費、障害年金等の給付が受けられるということである。
 説明書を読んで理解するということは、①このワクチンの感染予防効果は明らかになっていない、②副反応も明らかになっていない症状がでることがある、③ワクチン接種によって健康被害が生じた場合には救済措置がある、ということを《確認》するということだ。
 言い換えれば、ワクチン接種の効果がなくてもしかたがない、予想できない副反応があるかもしれないことを《納得したか》ということになる。
 一方、ワクチンを接種することによって生じる危険性の方はどうか。②の「予防接種を受けるに当たり注意が必要な人」は以下の通りであり、「必ず接種前の診察時に医師に伝えてください」ということである。
・抗凝固療法を受けている人、血小板減少症または凝固障害のある人
・過去に免疫不全の診断を受けた人、近親者に先天的免疫不全症の方がいる人
・心臓、腎臓、肝臓、血液疾患や発育障害など基礎疾患のある人
・過去に予防接種を受けて、接種後2日以内に発熱や全身性の発疹などのアレルギーが疑われる症状が出た人
・過去にけいれんを起こしたことがある人
・本ワクチンの成分に対して、アレルギーを起こすおそれがある人


 私自身は「陳旧性心筋梗塞」の治療を受けているので、当然《注意が必要な人》に該当する。ほぼ半年前、主治医にワクチン接種の是非を尋ねたところ「・・・今のところわからない」ということだった。だから接種はしないと決めている。昨日も主治医の診察日だったが、特に相談はしなかった。すると主治医の方から「ワクチンの連絡がありましたか」と聞いてきた。私は「ありました。でも接種はしたくありません」と言うと、「そうですか、わかりました。接種はあくまで任意ですから・・・。感染予防には気をつけてください」ということで終わった。あくまで私の主観だが、主治医の表情からは「苦渋の選択から逃れられた」という安堵が感じられた。もし「接種しても大丈夫でしょうか?」と尋ねたら、今回はどんな答が返ってきただろうか。
(2021.5.26)