梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

新型コロナ「10代女性死亡 誤公表」の《責任》

 「東京新聞」12月5日付け朝刊(31面)に「10代女性死亡 集計で誤公表 厚労省、新型コロナ」という見出しのベタ記事が(目立たないように)載っている。「厚生労働省は4日、新型コロナウィルスに感染した十代女性が死亡したことを国内発生動向集計で発表した。しかしその後、誤って集計したことが判明し、謝罪した。」という内容である。厚生労働省は当初、十代女性が死亡したとされる件について、その女性が居住する自治体や、基礎疾患の有無については「非公表」とする姿勢で、「知っているのはわれわれだけでよい」といった《役人根性丸出し》だったが、一転、誤公表を認め、謝罪するという無様な姿をさらけ出した。
 謝って済む話ではない。ことは「人の生き死に」にかかわる重大事なのだ。なぜそのような誤りが生じたのか、記事によれば「委託を受けてデータを集計している業者が、患者の容体を誤って入力した可能性が高いという」。バカを言ってはいけない。集計したのは業者かもしれないが、公表したのは厚生労働省なのだ。業者の(誤った)集計を何のチェックもせずに「そのまま」公表した責任は免れられないのである。
 《コロナで10代も死亡する》という事実は非常に重い。さればこそ、それを公表する際には、誤りではないという確認を、念には念を入れて、慎重に行わなければならない。なぜ、誤った情報を「軽々に」公表してしまったのか。その裏には、新型コロナの恐ろしさを「殊の外」強調して、国民の誰もが「早くワクチンを!」と思うように仕向ける《魂胆》があったのではないか。そのことは、前述したように、十代患者が居住する自治体や基礎疾患の有無を非公表とする姿勢からも窺われる。
 もしそうでないというのなら、なぜ公表前に「事実の確認」を怠ったのか、その原因・理由を説明する責任が厚生労働省にはある、と私は思う。
(2020.12.5)