梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「東京新聞」朝刊1面のトップ記事

 「東京新聞」朝刊1面のトップ記事は「お盆帰省 政府ちぐはぐ」「西村担当相『慎重に考えて』、菅官房長官一律自粛を求めず」という見出しで、要するに2日、3日の記者会見において「Go To トラベル」に関する政府の説明・見解が「矛盾している」ことを指摘する内容だった。
 この記事は村上一樹、井上峻輔という記者名が記されているので、あえてその二人にお伺いしたい。西村氏は2日の記者会見で、慎重に考えないといけない理由として「無症状の若い人や子どもから高齢者に感染が広がる可能性もある」と述べたそうだが、《無症状者が感染を拡大させる》という見解の根拠は何かについて、確かめたのだろうか。合わせて、《無症状者からの感染》と《有症状者からの感染》はどのように違うのか、これまでの感染症の場合は、《有症状者からの感染》を『感染』と称していたが、新型コロナウィルスの場合は《無症状者からの感染→発症》もあり得るのか。もしあるとすれば、その確率はどのくらいか、といった「事実」をどの程度把握しているのか、について確認したか。 今回の疫病は当初から「正体不明」で《謎が多い》。為政者、専門家の判断、説明も不十分極まっている。だから、つねに新聞記者等のメディア関係者は、「事実」に基づいた《真実》を究明する努力をしなければならない。これまでに判明した「事実」は何なのか。その「事実」から、西村氏の見解と菅氏の見解を比べ、どちらの見解が《真実》に近いか、その資料を提示して読者の判断を《助ける》ことが、新聞記者の《使命》ではないだろうか。
 担当相と官房長官の会見内容が「食い違っている」ことなど、中学生でもわかることだ。それを今さら記事にしたところで、読者にとっては何の役にも立たないことを思い知るべきなのだ。1面のトップ記事としては「オソマツ!」という他はない。読者が購読料を払っていることをユメユメお忘れめさるるな。
(2020.8.4)