梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「新型コロナウィルス」についての《半信半疑》(4)

 京都大学名誉教授・川村孝氏は、山中伸弥氏が紹介した論文「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する諸問題 2020.5.15(6.6増補)」の中で、《今の新型コロナウイルス感染症に対する日本あるいは世界の対策は(間違ってはいるわけではないが)本筋を少し外しているように感じられます。》と述べているが、もっと大胆に《間違っているのではないか》と異論を展開しているのが、その二の群である。


 その多くはマスメディアではなく、ブロードバンドの世界で発言しているので、人口に膾炙してはいないが、《少数意見》として傾聴に値する、と私は思う。
 まず第一に、徳島大学名誉教授・大橋眞氏は「アゴラ(言論プラットフォーム)」というサイトで「新型コロナウィルスというネーミングに騙されていませんか?」という疑問を、以下のように投げかけている。


〈コロナ騒動の主な要因として、新型コロナウイルスの本態が掴めていないということがある。新型コロナウイルスに関する情報は、新型コロナウイルスのゲノム遺伝子を、世界で初めて発表した中国の論文 1) に始まる。
 しかしながら、この論文では新型コロナウイルスを分離したわけではなく、肺の抽出液という多様な微生物や、体細胞に由来する遺伝子の混合物から直接ショットガンという方法で3万塩基対近くのゲノム遺伝子を決めるという方法である。
 はたして、このような方法で決定した遺伝子配列に問題はないのだろうか。これに関しては十分な検証はなされていない。それに関わらず、この配列を全面的に信頼する形で、PCR反応を行い新型コロナウイルスの診断に用いているわけである。


 そもそもコロナウイルスは、私たちの体の中だけでなく、動物の体内などにも無数といっても良いほど存在している。よほど病原性が強いとか、特別の理由がない限り、これまで注目されてこなかっただけである。新型コロナウイルスの診断に用いているPCR検査は、このような身の回りにありふれたコロナウイルスの遺伝子を検出することはないのだろうか。これに関して、何の情報もない。だれも調べていないのである。
新しいとされる病原体の検出するための検査法の確立には、既存の微生物と鑑別ができるのかということが必須である。鑑別出来ない検査法であれば、その点を細心の注意を払って使うことはあるが、今回の場合は、鑑別ができるのかという情報すらないのである。
病原微生物の検査法の必須条件である鑑別診断ができるのかという情報がないままに、PCR検査が広く行われつつあるのは、一体何を意味するのであろうか。なぜこのようなことが起こっているのであろうか?その一因として、「新型」というネーミングにあると思われる。
 ここでいう新型とは、米国遺伝子バンクGRNBANKに登録されている主要な6種のコロナウイルスとは異なる遺伝子配列を持っているという意味で、新型なのであり、これまでこの世に存在しなかったという意味ではない。そのために、既知の遺伝子をもつコロナウイルスとの鑑別だけが問題となり、一般に存在するコロナウイルスとの鑑別診断の問題が曖昧にされたのである。
 つまり、今回の新型コロナウイルス感染者の同定に使われているPCR検査は、単に常在ウイルスであるコロナウイルスを検出している可能性がある。そもそも肺胞で増殖する微生物には、日和見感染を起こす常在性のものが多い。風邪・インフルなどにより免疫力が弱まった結果として、増殖した常在ウイルスを検出しているのに過ぎないかも知れないのである。中国で決定されたゲノム遺伝子が、常在ウイルス遺伝子とはっきり区別できるという検討を欠かすことができない。
 一般に、新しい検査法を導入するときには、このような問題点を慎重に検討する必要があることは常識である。しかし、今回は緊急ということで、この基本的なステップが省略された。もし、今回のPCR検査が常在ウイルスを検出していれば、極端には日本人全員を感染者として同定してしまうことになりかねない。
 今回のコロナ騒動では、大きな経済的損失だけでなく、学童の教育機会を奪うことになった。このようなことを二度と起こさないために、正確な感染者の同定ができるような検査法の見直しが急務である。中国の論文の遺伝子情報の見直しも必須である。これによって、無駄なワクチン等の開発も不要となり、無駄な国費の出費を減らすことに貢献することが期待出来よう。〉


 大橋氏の疑問の核心は、世界で初めて発表された中国の論文では、《新型コロナウイルスを分離したわけではなく、肺の抽出液という多様な微生物や、体細胞に由来する遺伝子の混合物から直接ショットガンという方法で3万塩基対近くのゲノム遺伝子を決めるという方法である。はたして、このような方法で決定した遺伝子配列に問題はないのだろうか。これに関しては十分な検証はなされていない。それに関わらず、この配列を全面的に信頼する形で、PCR反応を行い新型コロナウイルスの診断に用いているわけである。》という一点に絞られるだろうが、要するに、中国で決定されたゲノムの遺伝子と、一般に存在するコロナウィルスとの区別が曖昧であり、したがってPCR検査の「陽性」反応が、必ずしも「新型コロナウィルス」の感染を意味しないということだ。この部分は、川村孝氏の《遺伝子検査というと 絶対的と思われるかもしれませんが、①検出力に限界があること、②「検査陽性」と「感染」は同じではないこと、そして③検査陽性であっても感染力がある場合とない場合があること――は知って おかなくてはなりません。 新型ウイルス感染症とインフルエンザその他の在来感染症との鑑別は容易ではありません》という記述と重なる。そこからそもそも「新型コロナウィルス」という代物がこの世に存在するのか、という疑問に到達しても、おかしくない。
 かくて、大橋氏は「新型コロナウィルス」は意図的に作り出されたフェイク(偽物)であり、人々をパニックに陥れる道具として使われたと考えている。
 まさに、今回の《コロナ騒動》は「幽霊の正体見たり枯れ尾花」の典型だ、という大胆な「仮説」である。(つづく) 
(2020.6.19)