梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

浄瑠璃寺プラス山菜そば

 真言律宗 小田原山・浄瑠璃寺は、京都府木津川市加茂町西小に所在する。赴くには、近鉄奈良駅から路線バス約25分で到達する。休日を除けば、観光客はまばらで、常に閑散としている。「浄瑠璃寺の伽藍配置は、池を中央にして東に薬師如来を祀る三重塔が、西には阿弥陀如来九体を安置する本堂がある。太陽の昇る東方にある浄土(浄瑠璃浄土)の教主が薬師如来、その太陽がすすみ沈んでいく西方浄土(極楽浄土)の教主が阿弥陀如来である」。本堂と本坊の間には、猫が数匹、くつろいでいる。どの猫も、仏道に帰依する風情で、近寄りがたい気配をみせている。「有難い」ことだと思う。本堂に鎮座する「九体阿弥陀如来像」は、文字通り《国宝》。「未熟な私たちを理想の未来へ迎えてくれる如来である。人間の努力や心がけなど、いろいろな条件で下品下生からはじまり、下の中、下の上と最高の上品上生まで九つの往生の段階があるという考えから、九つの如来をまつった。中尊は丈六像で来迎印(下生印)、他の八体は半丈六像で定印(上生印)を結んでいる。下生とは、おくれたもの、あとになったもの、弱いものをひきあげ、たすける働きをさすことばである」(「」は案内パンフレットより抜粋)そうな・・・。さもありなん、中尊の前に座って見上げると、「何も心配することはない。それでいいんだよ、今のままでいいんだよ」という声が、(下生の)私を温かく包み込んでくれるような心地がした。参拝を終えて、門前にある料理屋「あ志び乃店」に入る。麦般若(ビール)と「山菜そば」を賞味する。ここの「山菜そば」(700円・税込み)は絶品、一度食べたら、生涯忘れられないほどの「美味さ」であった。その味は「筆舌に尽くしがたく」、まず現地に赴いて、「直接体験」する他はない。「浄瑠璃寺プラス山菜そば」、それが京都観光の真髄である。(2010.10.7)