梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「ここまでわかった新型コロナ」(上久保靖彦、小川榮太郎・WAC・2020年)要約・5・《■「集団免疫」を否定したがる人たち》

■「集団免疫」を否定したがる人たち
【小川】上久保先生の集団免疫モデルに疑問をぶつけてくる人が多数いる。不思議なのは抽象的に「仮説じゃないの」というだけで具体的、理論的、方法論的な批判があまり見受けられない。8月13日に村上康文東京理科大学教授による抗体の定量検査システムが発表され、日本人は免疫を充分獲得しているのではないかと実証された後も議論が盛り上がらない。自分はこう調べたと、疫学でも、ウィルスでも、ゲノムの情報でも、徹底して解析し、どんどん世に問うべきだ。
【上久保】そうだ。ゲノムも、HLAについても調べたらいい。HLA(ヒト白血球抗原)は、最初は白血球の血液型として発見されたが、半世紀以上を経て、白血球だけにあるのではなく、ほぼすべての細胞と体液に分布していて、組織適合性抗原(ヒトの免疫に関わる重要な分子)として働いていることが明らかになっている。このHLAの違いによって、コロナウィルスに強い免疫を持っている人がいるのかどうか?それでHLAを調べてみようというプロジェクトがある。マスクについても、効果を言いたい専門家はきちんと調べたらいい。結果を見せて互いに検証しあってゆくべきだ。検証の結果、HLAの違いがあった、ゲノムの違いがあった、人種の違いがあった、ということであれば私はその結果を認める。われわれは、インフルエンザの流行カーブを元にして今回の感染状況をすべて説明している。


【感想】
・上久保氏たちの集団免疫説にたいする疑問はすべて抽象的で、具体的、理論的、方法論的な批判が少ないということだ。
・私の知る限りでは、中部大学の武田邦彦教授が、「欧米の感染状況は国によって差がある。欧米のウィルスは弱毒型のK型が入る前に強毒型のG型が入ったため、被害、が拡大した、というが欧米の被害が少ない国にもG型が入っている。どう説明するか」という疑問が出されていたと思う。本書を読み進めれば、何かわかるだろうか。
(2021.1.24)