梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

新型コロナウィルス感染・《検証・外国人入国者》

 こよなく自国民を愛する民族主義者・某氏が、「新型コロナウィルス」の感染を拡大させた要因として、4月以降、外国人の入国制限が不十分だったこと(法務省が特段の事情で入国を認めたこと)を挙げている。
 たしかに、国内の感染拡大の推移を見ると、3月末から増え始め、4月1日から15日までの間に各地で《急増》している。この半月間で感染者が2倍以上増えた地域は、24都府県にわたっている。2倍台:青森、宮城、福島、栃木、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、岐阜、静岡、滋賀、大阪、兵庫、奈良、福岡。3倍台:山形、群馬、石川、長野、山口。突出しているのは沖縄の5.3倍、富山の6.1倍、広島の7.3倍であった。
 その急増の要因は、はたして某氏の言うように、法務省が「特段の事情が認められ上陸を許可した人」に因るものだろうか。法務省のホームページには、4月1日から12日にかけて、わが国に上陸した外国人合計3541人(内訳は乗員2730人、乗員以外811人)、と国籍別の人数が表示されている。 
 今、乗員以外の811人を見ると、中国254人、フィリピン85人、韓国79人、ブラジル70人、米国57人、台湾50人、インドネシア50人、タイ48人、ベトナム13人、オーストラリア9人、英国、カナダ各8人、ドイツ、フランス各7人、マレーシア6人、シンガポール3人、イタリア、オランダ各2人、フィンランド、トルコ各1人、その他51人、とある。 この811人が、あるいは乗員の2730人のうち何人かが、国内に滞在もしくは遠征して、「新型コロナウィルス」を撒き散らしたに違いないと、民族主義者・某氏は推測している。さらに、これらの外国人は「発症して」、国内の病院に入院しており、そのために日本国民が十分な医療を受けられない状況を作り出しているのではないか、とまで極言している。その根拠として、政府、法務省が「感染者」並びに「入院者」の国籍を公表しない(隠蔽している)ことを挙げているが、はたしてその真偽やいかに・・・。 
 政府、法務省には、こうした疑惑に応える責任がある、と私は思う。
(2020.5.26)