梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

大衆演劇・劇場界隈・岩瀬城総合娯楽センター(茨城)

                                                                     午前8時5分柏発、勝田行き普通電車で友部へ。9時54分友部発、小山行き普通電車で岩瀬へ。岩瀬からタクシー(5分・約2キロメートル)で「岩瀬城総合娯楽センター」到着。そこで午前11時から大衆演劇観劇。「南條光貴劇団」(座長・南條光貴)、受付で芝居観劇を申し込む。「どこから来ましたか?お名前は?飲み物は何にしますか」などと聞かれ、2600円支払う。従業員に案内され2階ホール(大広間・桟敷)に入ると、ビックリ、団体客(地区別老人会か?)でほぼ満員状態、カラオケの真っ最中であった。まだ午前10時台だというのに、「宴たけなわ」という雰囲気である。「席はどこにしますか」といわれたので、最後方の長テーブルを指さすと、従業員が座布団と盆を持参する。盆の上には、アルミの急須、湯飲み茶碗、日本酒入り銚子1本、紙コップが乗っている。
なるほど、第一部・芝居の開演は11時、終演は12時、その後、昼食(弁当配布)、第二部・芝居の開演は午後1時10分、終演は2時10分、舞踊ショー終了が午後3時という手順になっているので、この日本酒は、お茶を肴に飲むということか。妙に納得して、第一部の芝居・「次郎長外伝・生きたり死んだり」を観る羽目になった。筋書きは、次郎長の子分同士が「お互いに死んだこと」にして「香典代」を稼ごうとする「他愛もない」話、まあ「前狂言」なので、若手役者の「修業の場」 、それでもいいかと納得した。団体客の目的は「観劇を兼ねた親睦」なので、舞台に向けての集中力に欠ける傾向があるが、若手二人(南條欣也・結貴野蛍)の「実力」は彼らの関心を惹きつけるには十分であった。 実を言えば、私はこの劇団の舞台は、昨年、大阪「鈴成座」で見聞済み。座長・南條光貴の「女形舞踊」、女優・光條直貴の「立ち役」、ラストショー・龍神の舞が、印象深く記憶に残っていた。「もう一度観たい」と思う劇団の筆頭であった。座員は、他に、女優・南京弥(23歳・南條欣也の妹)、光條優貴、南條あみ(14歳)、男優・光條元貴(16歳)がいる。第2部の芝居は、外題「花の神田屋」、女優は「立ち役」、男優は「女形」という趣向の配役で、敵役の親分(三枚目)を、南京弥が「達者に」演じていた。座長の女形舞踊「アカシアの雨が止むとき」は、やはり「絶品」、その時だけは場内「水を打ったよう」、観客全員が舞台の景色に酔いしれた。
 予定表によれば、16日から20日まで、一部の芝居は「ハルキの女」とのこと、もう一度「観に行く」ことになるだろう。
(2008.9.10)