梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

 大衆演劇・幕間閑話・大衆演劇の「裏舞台」(2チャンネル)

  御多分に洩れず、大衆演劇の「裏舞台」は、インターネット「2チャンネル」(掲示板)で展開する。その演目の多くは「あやしい」「できた」「振った」「振られた」「寝取った」「くっついた」「離れた」等々、要するに役者相互の「醜聞痴話」に他ならず、加えて、投稿者同士が「豚!」「塵!」「滓!」・・・、と罵り合う有様で、なんとも見苦しい限りである。ある人は「2チャンネル」を「痰壺」と表したそうだが、まさに言い得て妙、(今は昔となった)共同便所の落書きにも劣る代物といえよう。「罵詈雑言」の使用例を学ぶには、恰好の教材だと言えなくもないが、(いにしえの)「二条河原の落書」(の格調)には遠く及ばず、まさに(現代)日本人の「道徳」も地に落ちた証しが示されているのである。古来より「付和雷同」は人の常、「野次馬根性」も日本人の伝統だが、匿名の発言には「礼儀・仁義」が不可欠である。つまり、弱者が強者に「もの申す」時に限って、(おのれの身を守るために)「匿名」が許されるのであった。相手を誹謗・中傷ずるのなら、まず自ら「姓名を名乗る」ことが鉄則でなければならない。しかるに、「2チャンネル」の投稿者連中は、一様に「名無しさん」と称して、役者連中の「醜聞痴話」を捏造し続けているのだ。投稿者と役者を比べれば、どちらが強者か・・・、その(コメント)の言い回し(文章表現)を見れば 一目瞭然、(例証するまでもなく)役者を「呼び捨て」「あしざまにする」ことは日常茶飯事、そのことだけで、未だに(旧態依然と)「河原乞食」扱いしている、投稿者の「優越感」が窺えるのである。したがって、「2チャンネル」掲示板は、強者である投稿者が、弱者である役者を「からかい」「あざけり」「さげすむ」ことによって、「自分たちは、まだましだ」という「安堵感」(快感)を味わうためにある、といっても過言ではないだろう。その根底には、《役者の私生活は「人並み以下」(不健全・不純・無節操・不道徳)、だから何を言われてもしょうがない》という蔑視・差別意識が横たわっているに違いない。悲しくも、むなしい現実である。「裏舞台」で「人非人」役を演じさせられる役者連中の心情を思うと、言葉を失うばかりだが、終わりに一言、声をかけたい。「各劇団、各役者一同様、『2チャンネル』の情報はすべて(嘘八百の)「絵空事」、取り沙汰されるのも『芸のうち』と受け流して、『裏舞台・名無しさん』連中の(取るに足らぬ)三文芝居を(どこ吹く風と)お楽しみください」。(2012.4.12)