梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

袴田事件 捜査機関の《責任》・2

梨野礫

1966年に起きた清水市一家4人強盗殺人事件で死刑が確定した袴田巌氏の再審公判で、静岡地裁は無罪の判決を言い渡した。その判決文で、有罪の証拠とされた「5点の衣類」について、以下のように断じている。
〈事件発生から1年2か月後にみそタンクから見つかり、犯行時の着衣とされた「5点の衣類」は、赤みを感じさせる血痕が付着している。しかし、実験結果や専門家の見解に基づくと、タンク内で1年以上みそ漬けした場合、血痕は赤みを失い、黒褐色化すると認められる。衣類の血痕の色調によれば、タンクに新たなみそ原材料が大量に仕込まれた66年7月20日以前に5点の衣類がタンク内に入れられたとは認められない。勾留中の被告が入れることは事実上不可能だ。衣類はその発見から近い時期に被告以外の者によってタンク内に隠匿されたもので、犯行着衣ではない。5点の衣類は、何者かによって捏造されたと考えるほかない。真犯人や関係者の可能性も想定されるが、捜査機関以外の者が犯行着衣を加工し、発見に近い時期にタンク内に隠匿する事態はおよそ想定しがたい。(以下略〉(再審判決要旨・「東京新聞」9月27日朝刊より)
 「5点の衣類は、何者かによって捏造されたと考えるほかない」としたうえで「捜査機関以外の者が犯行着衣を加工し、発見に近い時期にタンク内に隠匿する事態はおよそ想定しがたい」と述べている。つまり、捜査機関の何者かが「5点の衣類」を捏造したのだ、と断定している。
 したがって、袴田巌氏の無罪が確定した段階で、検察当局は「誰が5点の衣類を捏造したか」を調査し、公表しなければならない。警察が証拠を捏造した場合どうなるか。ネットには以下の記事があった。
〈他人の刑事事件に関して証拠を隠したり、虚偽の証拠を作成したような場合に、処罰されるものです。 他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。〉
 今後の動向を注視することにする。
(2024.9.30)