梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「断・捨・離」

 今日は78回目の元日である。ずいぶん長く生きてきた、という他に、特別な感慨はない。同世代の人々が次々と鬼籍に入っていくので、そのたびに「寂しい」と感じる。小林旭は「いい奴ばかりが先に逝く、どうでもいいのが残される」(「惚れた女が死んだ夜は」(詞・みなみ大介、曲・杉本真人)と歌ったが、実感としてよくわかる。若い時には「いつ死んでもいい」などと思っていたが、それは「若気の至り」というもので、最近では、自分は「生きている」のではなく「生かされている」のだと、つくづく思う。何が私を生かしているのか、自然の摂理か、神の思し召しか、いずれにせよ「偶然」、今日もまた生き延びた、という毎日なのだ。生きるのも偶然、死ぬのも偶然、これからは、薄氷を踏むような人生だが、それを受け入れて「精一杯」前へ進もう。
 今年の目標は、例年通り「大晦日まで生き延びること」、そして「身辺整理」をすることだ。「断・捨・離」の断と離は何とかなるが、捨が思うに任せない。現在の所有物は、書籍、写真、ノート(日記)、文書(印刷物)、CD,DVD類がほとんどだが、何から捨てていくべきか。とりあえず、文書からか・・・。さっそく取り掛かることにする。
(2022.1.1)