梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

大衆演劇・劇団素描「白富士劇団」(座長・白富士一馬)

【白富士劇団】(座長・白富士一馬)〈平成20年4月公演・郡山・東洋健康センター〉
郡山着10時16分。「東洋健康センター」に電話すると、送迎バスは午後5時15分まで運行しないとのこと、路線バスで行く。11時45分発、磐梯熱海行きのバスで「店卸し団地入り口」で下車(バス代510円)。徒歩100メートル。浴室に「ぬる湯」(36度台)、「高麗人参エキス湯」があることが特長で、他に「天然温泉」「薬湯」などの浴槽もある。午後1時から大衆演劇観劇。「白富士劇団」(座長・白富士一馬)。「劇団紹介」によれば、「プロフィール 劇団白富士 所属はフリー。叔母であり現在、劇団指導を務める白富士龍子が女座長として昭和58(1983)年に旗揚げ。平成15(2003)年1月より白富士一馬が座長となり公演。前座長・白富士龍子の「中からきれいにして舞台に立つ」をモットーに、いつも仲のよいアットホームな劇団。ブラックライトを使用した「白富士鬼太鼓ショー」は必見。座長 白富士一馬 昭和56(1981)年6月7日生まれ。兵庫県出身。血液型A型。初舞台は6歳くらい。平成15(2003)年3月26日、大阪・朝日劇場にて座長襲名披露を行う。10代のころは漫画家になる夢もあったが、現在は若き座長としてしっかりと劇団をまとめている」とある。キャッチフレーズは「舞台に巻き起こる、爽快な風。白雪輝く霊峰「富士」の名にふさわしい清廉な心掛けで臨む舞台。若き座長・白富士一馬と、その弟、健太と龍太、さらにつばさを含めた4名を中心にベテラン役者とニューフェイスが、日々の舞台を盛り上げる」であった。芝居の外題は、昼の部「兄妹船」、夜の部「関の弥太っぺ」。たしかに、「清廉な」という形容がぴったり、上品な舞台で、大衆演劇特有の「泥臭さ」が感じられない。これまで観た劇団の中で、芝居の「上品さ」、舞台の「景色づくり」という面では「ピカイチ」だと思う。子役を含めて、舞台に登場している役者すべてのの「位置」、「表情」、「所作」が「絵」になっている。特に、「幕切れ」場面の鮮やかさは、「鹿島順一劇団」と「肩を並べる」出来映えであった。ただ、残念なことは、その素晴らしさが、「舞踊ショー」に反映されていないことである。「舞踊ショー」とは、役者一人一人が「主役」を演じる「一人芝居」だということを肝に銘じてほしい。音楽に合わせて「シナをつくる」だけでは、歌心(曲想)は伝わらない。さすがに、胡蝶つき子(座長の母)の舞踊は「所作の表情」が豊かで「水準」以上だったが、他は「水準」並み、「綺麗」「艶やか」という段階にとどまっている。
(2008.4.15)