梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

新型コロナウィルス感染・《終息へのシナリオ》

 今、国民の誰もが「この騒ぎは今月いっぱい辛抱すれば終息するだろう」「終息してほしい」と願っている。ゴールデン・ウィークまで我慢すれば、以後は「普通の生活」に戻れるだろうと期待している。はたして、その願い、期待はかなえられるか、その保証はない。そこで、私なりの《素人判断で》終息へのシナリオを《空想》してみた。


 まず、他国の実態から学ぶことが肝要である。いったいこの「新型コロナウィルス」は何人に1人の割合で感染しているのだろうか。   
 そこで、各国の「感染者数」(4月5日現在・「東京新聞」朝刊・《新型コロナウィルス感染者が多い国・地域》の表にもとづく)をそれぞれの「国の人口」を母数として計算する(除する)と、以下の通りになる。ただし、「感染者数」は「検査者数」に左右されるので、日本のように検査者数が極端に少ない場合は、全く信頼できない数値となる。
●中国(人口14憶人)81669人≒0.00058%
●米国(人口4.5憶人)31万2245人≒0.00069%
●日本(人口1.2憶人)4556人≒0.0000373%
●ドイツ(人口8.3千万人)91314人≒0.0011%
●イラン(人口8千万人)58226人≒0.00072%
●トルコ(人口8.2千万人)23934人≒ 0.00029%
●フランス(人口6.7千万人)68605人≒0.0010%
●イギリス(人口6.5千万人)41903人≒0.00064%
●イタリア(人口6千万人)124632人≒0.0020%
●スペイン(人口4.7千万人)130759人≒0.0027%
●スイス(人口854万人)21100人≒0.0024%
 これを見ると、《数値》が最も高いのはスペイン、スイス、イタリア(千人に2人強の割合)、次がドイツとフランス(千人に1人の割合)、続いてイラン(1万人に7人の割合)、米国・英国(1万人に6人の割合)、中国(1万人に5人の割合)という順になる。
 現在、中国、イラン、スペイン、イタリアは終息期に入ったと思われるので、最多では「千人に2人」(スペイン、イタリア)の割合で感染すれば終息に向かう、最少「1万人に5~7人」(中国、イラン)の割合でも終息に向かうことが可能ではないだろうか。  
 したがって、日本は今、どれくらいの割合で感染しているか、を明らかにすることが終息へのシナリオで最も必要だと考えられる。現在、わかっている感染者は4556人、「10万人に3人」という割合だ。他の国と比べても《桁が違いすぎる》のである。この感染者数が「1万人に5人」(中国)の割合まで増えたとき、具体的にはおよそ7万人に達したとき、感染は《終息に向かう》と考えられる。ただし、人命の尊重は《絶対条件》である。感染者の重症化を防ぎ、重症者の救命に全力が注がれなければならない。そのための環境整備、医療機器の手配、医療従事者の健康・安全の確保を最優先するべきである。現在の致死率2.2%は最低限でも維持、または減少させ続けなければならない。次は、国民全般の生命、健康、安全を守ること、具体的には、国民が不要不急の外出を自粛しても、十分に生活できる物資、食糧、医薬品は準備できているか、ライフラインに異常はないか、必要な情報が必要に応じて伝達できるか等を《総点検》し、必要な措置を直ちに講じることが、為政者に求められる。
 専門家の卓見、為政者のきめ細かで行き届いた施策により、こんな空想が一笑され、見事「終息宣言」の日が一日も早く訪れることを願うことは、いうまでもない。
【蛇足】
 全く単純に考えれば、日本の人口は中国の14分の1だから、88619人の14分の1、つまり5834人に達すれば「終息に向かう」かもしれない。だとすれば、国内の感染者があと1300人増えれば「まもなく終息」だ。しかし、そんな虫のいい話は夢物語、そうは問屋が卸すまい・・・。
(2020.4.6)