梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「旧約聖書」通読・《創世記》・第49章

■第49章
・ヤコブはその子らを呼んで言った。「集まりなさい。後の日に、あなたがたの上に起こることを、告げましょう。ヤコブの子らよ、集まって聞け。父イスラエルのことばを聞け。ルペンよ、あなたはわが長子、わが勢い、わが力のはじめ、威光のすぐれた者、権力の優れた者。しかし、沸き立つ水のようだから、もはやすぐれた者ではあり得ない。あなたは父の床に上って汚した。ああ、あなたはわが寝床に上った。シメオンとレピとは兄弟。彼らのつるぎは暴虐の武器、わが魂よ、彼らの会議に臨むな。わが栄よ、彼らのつどいに連なるな。彼らは怒りに任せて人を殺し、ほしいままに雄牛の足の筋を切った。彼らの怒りは、激しいゆえにのろわれ、彼らの憤りは、はなはだしいゆえにのろわれる。わたしは彼らをヤコブのうちに分け、イスラエルのうちに散らそう。ユダよ、兄弟たちはあなたをほめる。あなたの手は敵のくびを押さえ、父の子らはあなたの前に身をかがめるであろう。ユダは、ししの子。わが子よ、あなたは獲物をもって上って来る。彼は雄じしのようにうずくまり、雌じじのように身を伏せる。だれがこれを起こすことができよう。つえはユダを離れず、立法者のつえはその足の間を離れることなく、シロの来る時までに及ぶであろう。もろもろの民は彼に従う。彼はそのろばの子をぶどうの木につなぎ、その雌ろばの子を良きぶどうの木につなぐ。彼はその衣服をぶどう酒で洗い、その着物をぶどうの汁で洗うであろう。その目はぶどう酒によって赤く、その歯は乳によって白い。ゼブルンは海辺に住み、舟の泊まる港となって、その境はシドンに及ぶであろう。イッサカルはたくましいろば、彼は羊のおりの間に伏している。彼は定住の地を見て良しとし、その国を見て楽しとした。彼はその肩を下げてにない、奴隷となって追い使われる。ダンはおのれの民をさばくであろう。イスラエルのほかの部族のように、ダンは道のかたわらのへび、道のほとりのまむし、馬のかかとをかんで、乗る者をうしろに落とすであろう。主よ、わたしはあなたの救いを待ち望む。ガドには略奪者が迫る。しかし彼はかえって敵のかかとに迫るであろう。アセルはその食物がゆたかで、王の美味をいだすであろう。ナフタリは放たれた雌じか、彼は美しい子じかを生むであろう。ヨセフは実を結ぶ若木、泉のほとりの実を結ぶ若木、その枝は、かきねを越えるであろう。射る者は彼を激しく攻め、彼を射、彼をいたく悩ました。しかし彼の弓はなお強く、彼の腕は素早い。これはヤコブの全能者の手により、イスラエルの岩なる牧者の名により、あなたを助ける父の神により、また上なる天の祝福、下に横たわる淵の祝福、乳ぶさと胎の祝福をもって、あなたを恵まれる全能者による。あなたの父の祝福は永遠の山の祝福にまさり、永久の丘の賜物にまさる。これらの祝福はヨセフのかしらに帰し、その兄弟たちの君たる者の頭の頂に帰する。ベニヤミンはかき裂くおおかみ、朝にその獲物を食らい、夕にその分獲物を分けるであろう」。
・すべてこれらイスラエルの12の部族である。これらは彼らの父が彼らに語り、彼らを祝福したもので、彼は祝福すべきところに従って、彼らおのおのを祝福した。彼はまた彼らに命じて言った。「わたしはわが民に加えられようとしている。あなたがたはヘテびとエフロンの畑にあるほら穴に、わたしの先祖たちと共にわたしを葬ってください。そのほら穴はカナンの地のマムレの東にあるマクベラの畑にあり、アブラハムがヘテびとエフロンから畑と共に買い取り、所有の墓地としたもので、そこにアブラハムと妻サラとが葬られ、イサクと妻リベカもそこに葬られたが、わたしはまたそこにレアを葬った。あの畑とその中にあるほら穴とはヘテの人々から買ったものです」。こうしてヤコブは子らに命じ終って、足を床におさめ、息絶えて、その民に加えられた。
(2021.10.21)