梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「ここまでわかった新型コロナ」(上久保靖彦、小川榮太郎・WAC・2020年)要約・22・《第五章 これからの人類と新型コロナ》

《第五章 これからの人類と新型コロナ》
■新型コロナはもうすぐ消える
【小川】中国自身がパニックを起こさなければ、世界はどうなっていたか。
【上久保】世界中何も起こらなかったと思う。
【小川】新型が出るのは10年に1度と推定されている。
【上久保】2010年にインフルエンザの流行カーブは抑制されているので、10年に1度くらい、スパイクに変異が入るのかもしれない。新型インフルエンザも10年サイクルだ。人とウィルス、ウィルスとウィルスとの共生関係の法則があるように感じられる。
【小川】では、次には2030年に変異が起きるということになるか。
【上久保】大体10年後になるかもしれない。
【小川】10年単位に新型が出てくると旧型は消えるのか。
【上久保】消える。例えば、S型の後にK型が入ってきたら、S型はなくなる。GISAIDを見れば、初期型はどこにももうない。
【小川】では、去年までいたコロナは消えて、今のコロナがこれからは世界の標準のコロナウィルスになるのか。
【上久保】そうではない。もうすぐにこれは消える。スパイク変異のコロナウィルスは11月くらいには終わるので、その消失を待って、スパイク変異のないコロナウィルスが出てくる。例年同様、インフルエンザの流行とコロナの流行は、同じタイミングで始まる。12月にはコロナとインフルエンザが混同している。完全に両方消えるのが来年の3月くらい。ただし、変異コロナが終わった途端に新型インフルエンザが出ないとは限らない。
【小川】今年の11月に終わるのか。
【上久保】11月から12月だ。今年で終わるというのは私の意見で、高橋淳先生とは異なる。
【小川】変異が終わるとその後はどうなるのか。
【上久保】またコウモリから普通の、スパイクに変異の入っていない旧型が、人間に感染して、例年の状況に戻ると思う。
【小川】変異のないものが来年からまた戻るのか。
【上久保】そうだ。もう1回スタート。それが9年間続く。そして10年目にスパイクに変異が入る。
【小川】そこまで明確にパターンを読めていた研究論文は今まであるのか。
【上久保】これは、私の推量、仮説の域を出ていない。研究論文があるかどうかは調べていない。
【小川】理論的根拠を教えてほしい
【上久保】S型、K型、武漢G型、欧米G型、H型と変異してきている。変異の数は12~14。これでスパイクの変異可能な数を満了し、変異する場所がなくなる。最後のスパイクの変異を持ったウィルスに感染、曝露して、それが我々の免疫で抑え込まれたら、ウィルスを保存しない限りは消えると思う。K型と武漢G型のRO値は約2と約5だ。千人の人を前にして、感染競争を行った場合、1人が2人に感染させていくのと、5人に感染ざせていくのでは、どんどん5人の方が感染者を獲得していく。圧倒的に差が出るのでK型はG型を前に消えていく。こうしてRO値が小さいウィルスは消滅していく。そして最後の変異株が、生体の中で免疫が獲得された段階でなくなるので、保存しない限りは地球上から消える。そうすると、新たに旧型コロナがコウモリなど様々な動物自然宿主から再び人間にうつる。新型コロナが消えて、ウィルスの真空状態になると再び従来型のコロナが動物からうつる、といった感覚だ。
【小川】では、10年後には、今回のように人類全体がパニックを起こさず、やり過ごしたら、ここまでのことは起こらない。


【感想】
・上久保氏は、新型コロナは11月~12月には終わるという仮説を立てていたが、その仮説は当たったのだろうか。2021年2月現在、入院治療を要する《患者数》と《重症者数》は減少を始めたが、感染者数はどうなのか。上久保氏によれば「スパイク変異のないコロナウィルスが出てきて流行が始まり、それは3月頃終わる」と述べている。インフルエンザの流行は昨年同様に、極端に抑えられている。今のコロナは(変異を繰り返している)「新型」なのか、それとも従来の旧型コロナなのかが、はっきりしない。ぜひ、上久保氏の見解を知りたいと思った。
(2021.2.10)